選ぶ前の判断ポイント
Radeon RX 6400のロープロファイル版は、製品名に「LP」や「Low Profile」と書かれているだけでは選べません。購入前に分けて確認したいのは、カード長、LPブラケット装着時の高さ、厚さ、占有スロット数、付属ブラケットの5項目です。
空きが1スロット分しかない省スペースPCでは、厚さ18mm以下の製品が候補になります。ASRock、玄人志向、SAPPHIRE、XFXには1スロット級がありますが、GIGABYTEはLP対応でも厚さ36mmの2スロット型です。さらに、物理的に収まっても、PCIeスロットの位置、給電能力、BIOS設定、PCIe世代によっては、そのまま使えるとは限りません。
この記事では、スリムPCへ実際に増設できる型番をどう選ぶかに絞って確認します。
「ロープロファイル」と「1スロット」は別
LP、1スロット、ITX、ショートカードは同じ意味ではありません。
ロープロファイルは主にカードの高さとブラケット形状を示します。1スロットはカードの厚さと、隣接スロットをふさぐかどうかの条件です。ITXやショートカードは長さが短い製品を指すことが多く、スリムケースへ入ることを保証しません。
たとえばMSI AERO ITXのようにカード長が短くても、フルハイト設計ならLPケースの候補にはできません。反対に、GIGABYTE GV-R64D6-4GLは高さ69mmのLP製品ですが、厚さ36mmで2スロットを使います。
省スペースPCでは、まず内部の厚さ制限と空きスロット数を固定し、その後に長さと高さを照合する順番が合理的です。「RX 6400なら小さいはず」とGPU名から選び始めると、同じGPUでも装着できない型番を選ぶ可能性があります。
主要なRX 6400 LP型番を比較
| 型番 | 公称寸法 | 占有 | ブラケット・特徴 |
|---|---|---|---|
| ASRock RX6400 LP 4G | 150×68.9×18mm | 1スロット級 | フルハイトブラケット付属、0dBファン停止対応 |
| 玄人志向 RD-RX6400-E4GB/LP | 152×69×18mm | 1スロット | LPブラケット付属、寸法はブラケット除外 |
| SAPPHIRE PULSE 11315-01-20G | 170×56.2×17.2mm | 1スロット | ATXブラケット付属、ボード電力55W |
| XFX RX 6400 LP | 155×68×15mm | 1スロット級 | 最薄候補の一つ |
| GIGABYTE GV-R64D6-4GL | 182×69×36mm | 2スロット | LPブラケット付属 |
空きが1スロット分しかないPCでは、ASRock、玄人志向、SAPPHIRE、XFXが中心候補です。ただし、18mm以下なら必ず入るわけではありません。カード端の部品、ヒートシンクの突起、前面ケーブル、ドライブケージまで含め、数mmの余裕を残して判断します。
ASRockはメーカー公称で150×68.9×18mmですが、国内販売店ではLPブラケット装着時155×68.9×18mmと案内されています。測定基準の違いがあり得るため、ぎりぎりのケースでは短い方の数値だけを採用しない方が安全です。
玄人志向の152×69×18mmはブラケットを除く寸法です。ブラケット固定位置から前方の障害物まで、コネクタや配線の逃げも含めて確認してください。
PC側で実測する5つの場所
候補を決める前に、PCのサービスマニュアルと内部を確認します。
1つ目はPCIe x16スロットの位置です。スロットがケース端に近い場合、2スロット型は側板や電源ユニットに干渉します。
2つ目はカード後端までの距離です。ブラケット固定面からドライブベイ、前面ファン、電源ケーブルまでを測り、配線を曲げる空間も残します。
3つ目は基板上端から側板までの高さです。LP対応でも、カード本体やヒートシンクの突起が側板へ当たる可能性があります。
4つ目は厚さと隣接スロットです。空きが1スロットだけなら、36mmのGIGABYTEは除外します。隣が空いていても、Wi-Fiカードや前面端子ケーブルがあれば実質的に使えない場合があります。
5つ目はブラケットです。中古品ではLPブラケットやフルハイトブラケットが欠品することがあります。製品仕様だけでなく、販売品の写真や説明でも同梱状態を確認すべきです。
補助電源不要でも電力とBIOS確認は必要
RX 6400のAMD公称Typical Board Powerは53Wで、補助電源コネクタを使わずPCIeスロットから給電します。ただし、「補助電源不要だから、どの電源でも使える」という意味ではありません。
PCメーカーがPCIeスロットへ許容している供給電力、電源ユニットの総容量、CPUやストレージを含む構成を確認してください。HP EliteDesk 800 G2 SFFへ玄人志向のLP版を増設した例では、200W電源で動作していますが、同じ200W電源の全機種を保証する事例ではありません。
古い法人向けSFF PCではBIOS設定も要注意です。同じ実装例では、Primary Video Adapterの変更が必要でした。画面が映らない場合、故障と決めつける前に、内蔵GPUと外部GPUの優先設定、UEFI対応、サービスマニュアルを確認します。
PCIe 3.0環境では用途まで判断する
RX 6400はPCIe 4.0 x4接続です。PCIe 3.0世代のPCでも装着できる場合はありますが、帯域が狭くなり、ゲームによって性能差が出ます。検証例ではCyberpunk 2077がPCIe 4.0環境の37fpsからPCIe 3.0環境で32fpsになりました。
低下率はゲームごとに異なるため、常に一定割合遅くなるとは言えません。それでも古いSFF PCへ増設する場合は、「入るか」「電源が足りるか」だけでなく、PCIe 3.0で遊びたいゲームへの影響まで確認した方が失敗を減らせます。
一方、通常サイズのグラフィックボードが入らず、補助電源も用意できないPCでは、LP・1スロット・スロット給電という組み合わせ自体に価値があります。価格性能だけでなく、代替候補が物理的に存在するかで評価が変わる製品です。
映像端子と機能制限も確認する
主要なRX 6400 LP製品は、HDMI 1基とDisplayPort 1基の構成が中心で、AMD公称の最大ディスプレイ数は2台です。3画面以上を前提にしている場合は、カード寸法以前に用途と合いません。
また、RX 6400はH.264/H.265のハードウェアエンコードとAV1デコードに対応していません。ゲーム表示や一般的な画面出力には選択肢になりますが、動画配信やエンコード処理までGPUへ任せたい場合は、機能制限を理解して選ぶ必要があります。
冷却はスロット数だけで決めない
2スロット型はヒートシンクを大きくしやすいものの、必ず静かとは限りません。1スロットLP製品の検証では、GPU温度はおおむね70~78℃でしたが、騒音は43dBA・約3600rpmという結果と、37.3dBA・1250~1300rpmという結果に分かれています。
測定距離、ケースの密閉度、室温、負荷、ファンカーブ、個体差が異なれば、同じGPUでも音の評価は変わります。「1スロットはうるさい」「2スロットなら静か」と寸法だけで断定せず、PC内部の吸排気まで含めて判断するのが妥当です。
最終的には厚さから候補を絞る
空きが1スロット分だけなら、最初の基準は18mm以下です。短さを優先するならASRockやXFX、実装高を抑えたいなら高さ56.2mmのSAPPHIRE、国内仕様とLPブラケットを確認しやすい候補として玄人志向があります。2スロット分を使えるならGIGABYTEも選択肢ですが、長さ182mmと厚さ36mmを許容できるかを先に測ります。
最後に、カード長、高さ、厚さ、占有スロット、ブラケット、映像端子、スロット給電、BIOS、PCIe世代を一つずつ照合してください。RX 6400のLP版選びでは、GPU名よりも「自分のPCで許容できる寸法と条件」を先に決めることが、装着失敗を避ける最も確実な方法です。
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