NVIDIAの提供するDLSS(Deep Learning Super Sampling)は、AIによるアップスケーリング技術として、ゲーミング体験を革新し続けています。DLSSはバージョン4.5へと進化し、さらに高度なAI技術を駆使するようになりました。
DLSS 4.5の最重要ポイント
DLSS 4.5における「プリセット(モデルプリセット)」とは、AIが画像を生成する際のアルゴリズムの挙動を決定する設定です。従来のモデルよりもさらに高度な第2世代Transformerモデルが導入されており、用途や特にGPUの世代に合わせて最適なものを選択する必要があります。
DLSS 4.5で何が変わった?第2世代Transformerモデルの衝撃
従来のDLSSとの決定的な違いは、DLSS 4.5において、さらに高度な第2世代Transformerモデルが導入されたことです。この技術的な進化により、DLSSはより賢く、より正確に低解像度の映像を高解像度へとアップスケーリングできるようになりました。
このプリセットの選択が重要となる最大の理由は、使用するGPUの世代、具体的にはRTX 40/50シリーズか、あるいはRTX 20/30シリーズかによって、パフォーマンスへの影響が劇的に異なるためです。
dlss 4.5 プリセット:新世代モデル「M」と「L」の特徴を徹底解説
DLSS 4.5では、主にModel MとModel Lが新世代のモデルとして追加されました。これらの新モデルと、旧世代で実績のあるModel Kの特性を理解することが、最適な設定の第一歩です。
Model M (最新 / Latest):「パフォーマンス」モード特化の万能選手
Model Mは、多くのユーザーにとって最も使いやすい高バランス型のモデルです。
- 推奨モード:「パフォーマンス」モード用のデフォルト設定です。
- 画質特性:画質(ディテール)を重視しつつ、処理速度を従来のModel J/Kに近いレベルに抑える設計となっています。
- 設定時の挙動:NVIDIA Appで「最新(Latest)」を選択すると、クオリティ、バランス、ウルトラパフォーマンスを含む全モードでこのModel Mが適用されます。
Model L:「ウルトラパフォーマンス」モード最強のシャープネスモデル
Model Lは、最もアグレッシブなアップスケーリング設定のために最適化されています。
- 最適化対象:特に4K出力の「ウルトラパフォーマンス」モードに最適化されています。
- 画質特性:最もシャープで安定した画像を提供し、ゴースト(残像)を最小限に抑える能力を持ちます。
- 負荷特性:計算負荷(フレームタイム)はModel MやKよりも最も高くなります。そのため、RTX 40シリーズ以上のハイエンドGPUでの使用が推奨されます。
Model K:旧世代GPUの救世主(DLSS 4.0からの継承モデル)
Model Kは、負荷の低さという点で、今なお重要な役割を果たしています。
- モデルの出自:DLSS 4.0(第1世代Transformer)のモデルです。
- 推奨用途:パフォーマンス負荷が低いため、引き続き「クオリティ」「バランス」「DLAA」モードのデフォルトとして推奨されています。
- 旧世代GPUでの重要性:RTX 20/30シリーズなどの旧世代GPUでの使用に特に適しており、フレームレート維持に貢献します。
【比較表】DLSS 4.5 モデルプリセット一覧と特性
主要3モデルの機能、負荷、推奨用途を以下の表にまとめました。
| モデル名 | 設計思想と推奨モード | 画質特性 | 計算負荷 (フレームタイム) | 最適なGPU世代 |
|---|---|---|---|---|
| Model M (最新) | パフォーマンスモード/NVIDIA App「最新」 | ディテール重視、高バランス | 中〜低(Model Kに近い) | RTX 40 / 50 シリーズ |
| Model L | ウルトラパフォーマンス(4K) | 最高度のシャープネス、ゴースト抑制 | 最も高負荷 | RTX 40 / 50 シリーズ (ハイエンド) |
| Model K | クオリティ/バランス/DLAAモード | 低負荷、安定 | 最も低負荷 | RTX 20 / 30 シリーズ |
GPU世代別推奨設定ガイド:RTX 40/50 vs RTX 20/30のdlss 4.5 プリセット戦略
DLSS 4.5は、AI処理の高速化のために**FP8精度**を利用しています。このFP8精度をハードウェアがネイティブサポートしているかどうかが、プリセット選択の命運を分けます。
RTX 40/50シリーズ:「最新(Model M)」が黄金比
RTX 40シリーズ以降の最新GPUを使っているユーザーは、Model MやLの恩恵を最大限に受けられます。
- 推奨理由:RTX 40/50シリーズは、DLSS 4.5が利用するFP8精度をネイティブサポートするハードウェアを備えています。
- メリット:ハードウェア対応のおかげで、Model MやLを適用してもパフォーマンス低下はわずか2〜5%程度に抑えられます。結果として、画質向上のメリットがパフォーマンス低下を大きく上回ります。
- 推奨行動:NVIDIA Appで迷わず「最新(Latest)」を選択しModel Mを適用するか、超高解像度環境ではカスタムでModel Lを試すのが最適解です。
RTX 20/30シリーズ:なぜ「Model K」に留めるべきなのか?
RTX 20/30シリーズユーザーは、最新のModel MやLを適用する際に細心の注意が必要です。
- 技術的制約:これらのGPUはFP8にネイティブ対応していません。そのため、Model MやLを適用した場合、AI処理をソフトウェアでエミュレーション(処理代行)する必要が生じます。
- 深刻なパフォーマンス低下:その結果、ベンチマークテストではフレームレートが12%〜30%以上大幅に低下することが報告されています。これは、せっかくDLSSで得られるはずだったFPSの利益を打ち消してしまう可能性があります。
【最重要】RTX 20/30ユーザーの推奨設定
画質よりもフレームレート(FPS)を優先したいユーザー、特に競技性の高いゲームをプレイする場合は、設定を「最新」にせず、Model Kに維持することが賢明です。
最新の高性能なModel M/Lは、マシンの体力(FP8対応)に合わせた使い分けが不可欠です。RTX 20/30シリーズにとっては、負荷の低いModel Kこそが最良のパートナーです。
NVIDIA Appを使ったDLSSプリセットの具体的な設定方法
DLSS 4.5のプリセット変更は、GeForce Experienceの後継ツールである「NVIDIA App」から行うのが最も簡単かつ推奨される方法です。
Step 1: NVIDIA Appの起動と設定タブへの移動
NVIDIA Appを起動し、左側のナビゲーションメニューから「グラフィックス」タブを選択します。ここでは、グローバル(すべてのゲーム)設定と、ゲームごとの個別設定を行うことができます。
Step 2: DLSSオーバーライド - モデルプリセットの選択
DLSSの設定項目の中から、**「DLSSオーバーライド - モデルプリセット」**を探します。
- 「最新(Latest)」を選択:最もシンプルな選択肢で、すべてのDLSSモードでModel Mが適用されます。RTX 40/50ユーザーの標準設定です。
- 「カスタム」を選択:Model L, M, Kなどの特定のモデルを、手動で指定できます。RTX 20/30でModel Kに固定したい場合や、4K環境でModel Lを試したい場合に利用します。
Step 3: 適用モデルの確認方法(Alt+Zオーバーレイの活用)
設定を変更したら、実際にゲーム内でそれが正しく反映されているかを確認することが重要です。
ゲーム中にAlt+ZキーでNVIDIAオーバーレイを開き、**「統計」ビュー**(または詳細なパフォーマンス表示)に切り替えます。ここで、現在適用されているDLSSモデル(MやLなど)が表示されますので、意図したプリセットが動作しているかを確認しましょう。
設定時の応用知識と注意点:Ray Reconstructionとの関係
プリセットの選択が思ったように反映されない場合、別の設定が優先されている可能性があります。
DLSS Ray Reconstruction(光線再構成)有効時の注意点
非常に重要な注意点として、**DLSS Ray Reconstruction(光線再構成/RR)**が有効になっている場合、スーパーレゾリューション(アップスケーリング)のオーバーライド設定(Model M/Lへの変更)は機能しません。
この場合、システムは強制的に旧モデル(通常はRay Reconstructionに最適化されたModel Dなど)に戻る仕様になっています。したがって、もしあなたがRRをONにしているなら、スーパーレゾリューションのモデルをMやLに手動で設定変更しても、その効果は反映されないことを理解しておきましょう。
カスタムプリセットの選び方:FPS目標による使い分け
具体的なプレイ環境に合わせて、カスタムプリセットを使い分けてみましょう。
- FPSを最大限に稼ぎたい場合(RTX 20/30ユーザー向け):
→ 処理負荷を最小限に抑えるModel K 固定 - 4K高画質で究極のシャープさを求める場合(RTX 40/50ハイエンド向け):
→ 計算負荷は高いもののシャープな映像を得られるModel L - 標準的な画質向上とパフォーマンスを両立させたい場合(RTX 40/50向け):
→ 多くのゲームでバランスの取れた選択肢となるModel M
まとめ:あなたの環境に最適なdlss 4.5 プリセットを見つけるために
本記事を通じて、DLSS 4.5のプリセット選択は、単なる画質の好みだけでなく、GPU世代によるFP8対応が鍵となることをご理解いただけたかと思います。適切なモデルを選ぶことで、フレームレートと画質の最適なバランスを実現できます。
最終的な推奨事項
これは、「パワフルなエンジンを積んだ最新の車(RTX 40/50)にはハイオク仕様の最新ギア(Model M)を入れ、旧型車(RTX 20/30)には負荷の少ないレギュラー仕様のギア(Model K)を残しておく」ような、マシンの体力に合わせた使い分けが重要です。
- RTX 40/50世代のユーザー:「最新」設定(Model M)で十分な性能が得られます。ハードウェアの強みを活かしましょう。
- RTX 20/30世代のユーザー:フレームレート維持のため、処理負荷の低いModel Kを維持することを強く推奨します。
最終的には、NVIDIA Appのオーバーレイで実際のFPSを確認しながら、自分自身の目で最適なモデルを見つけることが、最高のゲーミング体験への近道となるでしょう。


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