JBL TOUR PRO 3が「聴覚拡張ガジェット」と呼ばれる理由:トランスミッター機能の衝撃
JBL TOUR PRO 3は、単なる高性能なノイズキャンセリング完全ワイヤレスイヤホン(TWS)ではありません。その真価は、スマート充電ケースに搭載された唯一無二の機能、「Bluetoothトランスミッター(送信機)」にあります。この機能により、TOUR PRO 3は従来のワイヤレスイヤホンの枠を超え、あらゆる音源をワイヤレス化できる「聴覚拡張ガジェット」へと進化しました。
なぜこの機能が「神機能」とまで呼ばれるのか?それは、これまでワイヤレス化が難しかった、遅延が許されないゲーム機や、有線接続が必須だった飛行機の機内エンタメにおいて、圧倒的な快適性と高音質をもたらすからです。本記事では、このトランスミッター機能の仕組みから、PS5や長距離フライトでの具体的な活用法、そして次世代技術AURACASTまで、徹底的に解説します。
ケースがドングル(送信機)に進化!仕組みと必要な接続ケーブル
TOUR PRO 3のトランスミッター機能の最も画期的な点は、充電ケース自体がオーディオ信号の送信機(ドングル)として機能することです。通常、TWSを非Bluetooth機器に接続するには、別途専用の送信機(ドングル)を購入し、持ち運ぶ必要がありました。しかし、TOUR PRO 3なら、必要なのはケーブル一本と、常に持ち歩いている充電ケースだけです。
ケースが果たす役割:有線信号のワイヤレス変換
トランスミッター機能の役割は非常にシンプルですが強力です。再生機器(例:PS5、飛行機の座席)から有線で受け取ったアナログまたはデジタル音声信号を、超高速のワイヤレス信号に変換し、ペアリング済みのTOUR PRO 3本体(イヤホン)へ送り届けます。
接続方法の詳細:用途に合わせたケーブル選択
再生機器の種類に応じて、使用するケーブルが異なります。JBLからは、主に以下のケーブルが提供されています。
- USB Type-C to 3.5mm AUXケーブル(アナログ接続): 飛行機の機内エンタメ(イヤホンジャック)、古いテレビ、ポータブルオーディオプレイヤーなど、3.5mmステレオミニ端子を持つ機器への接続に使用されます。この接続は、特にアナログ出力しか持たない機器(例:ジムのランニングマシンに搭載されたテレビ、クラシックなレコードプレーヤーなど)の音声をワイヤレス化する際に非常に有効です。
- USB Type-C to USB-Cケーブル(デジタル接続): PS5、Nintendo Switch、PC、スマートフォンなど、USB-C出力が可能な機器への接続に使用されます。このデジタル接続は、高音質を保ちやすいという利点があります。デジタル信号を直接扱うため、ノイズの影響を受けにくく、特にPS5で高解像度ゲームサウンドを楽しむ際に真価を発揮します。
ケース背面のUSB-Cポートが、充電だけでなく、外部音源入力ポートとしても機能するという点が、このシステムの核となっています。
超低遅延コーデック「LC3plus」の魔法:なぜ10ms台が神なのか?
このトランスミッター機能が単なるワイヤレス変換にとどまらない最大の理由は、採用されているワイヤレスオーディオコーデックにあります。トランスミッター接続時、TOUR PRO 3は「LC3plus」という特殊なコーデックを使用します。
LC3plusとは? LE Audioの超進化版
LC3plusは、次世代Bluetooth規格「LE Audio」で採用されている標準コーデック「LC3」を、さらに低遅延・高音質化した拡張規格です。LC3は、低消費電力でありながら高音質を実現することで知られていますが、LC3plusはその性能をさらに極限まで高めています。
驚異の遅延性能:体感で「有線」になるレベル
LC3plus最大のメリットは、その圧倒的な低遅延性能です。一般的なBluetoothコーデック(SBCやAAC)では、遅延は150ms〜300ms程度になることが多く、特にゲームや動画視聴で「音ズレ」として認識されます。しかし、LC3plusは10ms台(0.01秒台)という超低遅延での通信を実現します。
- 人間の知覚限界: 人間が音と映像のズレを不快に感じ始めるのは、約40ms以上と言われています。10ms台という数値は、この知覚限界を大きく下回るため、事実上「有線イヤホンと同じ感覚」で利用できることを意味します。例えば、リップシンク(口の動きと音声の一致)が非常に重要な映画やドラマの視聴においても、全く違和感なく集中できます。
- ゲームでの影響: シューティングゲーム(FPS)で銃声や足音を聴くタイミング、リズムゲームでノーツに合わせてタップするタイミングにおいて、この10ms台の遅延は致命的なミスを防ぎ、プレイヤーのパフォーマンスを最大限に引き出します。(例:一般的なAAC接続では約200msの遅延が発生し、約1秒間に5回発砲できる銃の場合、3〜4発目の音がズレて聞こえてくる計算になる。対してLC3plusではそのズレがほぼゼロになります。)
LC3plusは高音質も両立:24bit/96kHz対応
LC3plusは低遅延であるだけでなく、高音質にも優れています。情報源にもある通り、これはLDACコーデックと同様に、ハイレゾ音域(24bit/96kHz)の高解像度オーディオ再生に対応しています。低遅延とハイレゾ級の高音質を両立している点が、TOUR PRO 3トランスミッターを競合製品から際立たせています。
【ゲーム革命】PS5で真価を発揮する低遅延通信のセットアップガイド
PlayStation 5(PS5)やNintendo Switchなどのコンソール機は、純正以外のBluetooth接続に制限があったり、遅延が大きくなりがちです。しかし、TOUR PRO 3のトランスミッター機能を使えば、この問題は完全に解消されます。
活用シーン 1: PS5でのセットアップと自動認識
PS5本体に充電ケースを接続するのは非常に簡単です。PS5には前面と背面にUSB-Cポートがありますので、付属のUSB Type-C to USB-Cケーブルを使用して接続します。ほとんどの場合、PS5側でトランスミッターが自動的に「JBL TOUR PRO 3」として認識されます。
- 接続時の設定: PS5の設定メニュー内、「サウンド」→「音声出力」または「マイク」の項目で、TOUR PRO 3がオーディオデバイスとして選択可能になっていることを確認します。
- PS5公式イヤホンの代わり: PS5純正のワイヤレスヘッドセットと同様に、システム側でネイティブに対応しているかのように振る舞うため、複雑な設定は不要です。PS5では純正ヘッドセットや特定のメーカーのUSBドングルを使用しない限り、高品質なワイヤレスオーディオ環境を構築するのが困難でしたが、TOUR PRO 3はその選択肢に加わることで、音質と利便性を高次元で両立します。
FPS/リズムゲーマー歓喜!遅延が致命的となるシーンでの体験検証
10ms台の超低遅延通信は、競技性の高いゲームでのプレイフィールを劇的に改善します。
- FPS (例: Apex Legends, CoD): 敵の足音、リロード音、グレネードの爆発音など、状況判断に必要な音が遅れなく耳に届きます。特に、音の方向や距離を把握する「定位感」が正確に伝わるため、有線環境に近いシビアな判断が可能になります。人気FPSタイトル『フォートナイト』で敵が建築している音や、わずかな足音の方向を即座に判断し、素早く反応できるため、勝利に直結します。
- リズムゲーム (例: 太鼓の達人, VSRG): わずかな音ズレも許されないリズムゲームにおいて、LC3plusの安定した低遅延性は絶対的なアドバンテージとなります。音と映像のシンクロ率が極めて高いため、遅延調整(キャリブレーション)がほとんど必要ありません。(例:『原神』のようなアクションRPGにおける精密な回避やスキル発動のタイミングも、サウンドエフェクトと完全に同期するため、没入感が向上します。)
活用シーン 2: マイク機能(ボイチャ)への対応
多くのワイヤレスアダプターは音声入力(マイク)に対応していないことが多いですが、TOUR PRO 3のトランスミッターは優れています。ソースによると、PS5にケースを接続した場合、イヤホン本体のマイクを使用してボイスチャット(ボイチャ)が可能であると確認されています。
- パーティーチャット対応: 友人とのパーティーチャットや、チームメンバーとの連携において、外部マイクを用意する必要がなく、イヤホン単体で完結するため、非常に快適です。
- 接続方法の多様性: PS5では、USB-C接続が最も推奨されますが、古い機器やコントローラーのAUX端子からの接続も、対応ケーブルがあれば可能です。ただし、マイク機能を利用するためにはUSB接続が必須となる場合があります。
長距離フライトの常識を変える!飛行機での活用シーン徹底解説
トランスミッター機能は、地上だけでなく、空の上でもその真価を発揮します。長距離フライト時における機内エンタメのワイヤレス化は、多くの旅行者が求めていた究極の快適機能です。
接続方法:3.5mmジャックへのスマートな対応
従来の飛行機では、座席に備え付けられた3.5mmイヤホンジャック(または航空会社特有のデュアルジャック/2ピン)に、必ず有線イヤホンを接続する必要がありました。
- 接続手順: 付属のUSB-C to 3.5mm AUXケーブルの3.5mm側を座席のイヤホンジャックに差し込み、USB-C側をTOUR PRO 3のケースに接続します。これで、ケースが機内エンタメの音声をワイヤレス信号に変換し、イヤホンへ送信します。エコノミークラスの狭い座席で、コードが前の座席や食事のトレイに絡まる煩わしさがなくなります。
- 2ピンアダプター: 古い機材や一部の航空会社では、未だに2ピンのデュアルジャックが採用されています。その場合は、市販の「3.5mm to 2ピン変換アダプター」を別途用意し、ケーブルの先端に装着する必要がありますが、仕組みは変わりません。ANAやJALの国際線で利用されることが多い2ピンジャックも、適切なアダプターがあれば問題なく対応できます。
ノイキャン性能との相乗効果:機内騒音をシャットアウトする快適空間
機内でトランスミッター機能を利用する最大のメリットは、ワイヤレス化の自由度だけでなく、TOUR PRO 3が持つ強力なノイズキャンセリング(ANC)性能を最大限に活かせる点にあります。
活用シーン 1: エンジン音からの解放
飛行機の機内は、エンジン音、風切り音、空調音など、常時80dBを超える騒音に満ちています。TOUR PRO 3は高性能なハイブリッドANCを搭載しており、これらの低周波ノイズを大幅にカットできます。有線接続では、騒音の中で映画のセリフが聞き取りづらくなることがありましたが、ANCとトランスミッターを組み合わせることで、静寂の中で機内映画に没頭できる環境が手に入ります。これは「ファーストクラス級の快適さ」と称されるほどの体験です。特に、エンジンに近い窓側の席や、ギャレー(調理室)に近い席で発生しやすい高周波のノイズも効果的に抑制し、長時間のフライトでも耳の疲労を大幅に軽減します。
活用シーン 2: コードレスの自由と利便性
有線イヤホンを使っていると、隣の人が席を立ったり、自分がトイレに行く際に、コードを引っ掛けたり、抜くのを忘れたりといった煩わしさがありました。ワイヤレス化することで、コードの煩雑さから完全に解放されます。例えば、席を立つ前に一時的にイヤホンを外してケースに戻す際もスムーズです。深夜フライトで隣の乗客が寝ている中、静かに席を立ってストレッチをする際にも、コードを気にせず行動できるのは非常に大きな利点です。
知っておきたい実用テクニック:バッテリー持続時間と音量調整のコツ
長時間のフライトやゲームセッションでトランスミッター機能を使う際、知っておくと便利な実用的なテクニックがあります。
テクニック 1: 音量調整の「二重制御」をマスターする
機内エンタメのシステムは、しばしば音量調整が粗く、少し上げすぎると爆音になってしまうことがあります。TOUR PRO 3のトランスミッター機能では、音量の「二重制御」が可能です。
- 機内エンタメ側の音量: 再生機器(飛行機の座席モニター)側で全体の音量を調整します。
- ケースディスプレイ側の音量: ケースのタッチスクリーンディスプレイを操作することで、トランスミッターからイヤホンへの出力音量を微調整できます。
この2つのレベルの音量調整を組み合わせることで、機内アナウンスが入った際に急に爆音化するのを防ぎ、自分にとって最適な音量バランスを細かく設定できます。特に、座席によっては音量調整ノブの反応が鈍い場合があるため、ケース側で微調整できる機能は非常に実用的です。
テクニック 2: 長距離フライトのバッテリーマネジメント
長距離フライトは10時間を超えることも珍しくありません。TOUR PRO 3のイヤホン本体の連続使用時間は、ANCオン時で約8時間です。トランスミッターモードでも、このバッテリー持続時間は大きく変わりません。
- 途中の休憩が必須: 13時間フライトなどの場合は、途中で一度イヤホンをケースに戻して充電する必要があります。
- ケースバッテリーの優位性: 幸い、ケース自体も大容量バッテリーを搭載しており、イヤホンを複数回フル充電できます。トランスミッターとして9時間程度使用しても、ケースの残量が十分残っていたという報告があります。計画的に休憩時間で充電を行えば、ほぼ全てのフライト時間をワイヤレスで過ごすことが可能です。
次世代の音声共有技術「AURACAST」対応がもたらす未来
TOUR PRO 3のトランスミッター機能は、単に既存の音源をワイヤレス化するだけでなく、次世代のBluetooth規格「LE Audio」に対応しているため、未来の音声体験への扉を開きます。その鍵となるのが「AURACAST(オーラキャスト)」機能です。
複数人での音声共有:フライト中のエンタメシェア
AURACASTは、一つの送信機から複数の受信機(イヤホンやスピーカー)へ同時に音声をブロードキャスト(一斉送信)できる技術です。TOUR PRO 3のトランスミッターがこの機能に対応していることで、以下のような使い方が可能になります。
- 家族・友人との映画鑑賞: 飛行機内で同じ機内エンタメの映画を、隣に座る家族や友人のTOUR PRO 3やAURACAST対応イヤホンへ同時に送信し、二人で楽しむことができます。これは、従来の有線イヤホンでは実現不可能だった、真のワイヤレス共有体験です。
公共空間の音声サービス革命
将来的には、AURACASTは公共サービスにも応用されることが期待されています。例えば、
- 空港・駅: アナウンスや放送が、自分のTOUR PRO 3に直接、選択した言語で流れ込むようになります。
- 会議・展示会: 大ホールのスピーカー音声や、多言語通訳の音声を、自分のイヤホンで直接、クリアな音質で聴くことができます。
TOUR PRO 3のトランスミッターは、この未来の音声インフラのハブとなり得る、先進的な技術を既に搭載しているのです。
トラブルシューティングと互換性:PCやNintendo Switchでの利用
TOUR PRO 3のトランスミッターはPS5や飛行機だけでなく、幅広いデバイスで活用できます。
Nintendo Switchでの活用
Nintendo SwitchはBluetooth接続自体には対応していますが、その遅延が非常に大きいことが知られています。USB-Cポートを使用してケースを接続すれば、PS5と同様にLC3plusによる超低遅延通信が可能となり、アクションゲームや対戦ゲームでの快適性が飛躍的に向上します。
PC/Macでの活用とオーディオインターフェース代替
PCやMacにUSB-C接続した場合も、遅延の少ないワイヤレスオーディオデバイスとして認識されます。特に、PC側のBluetooth環境が不安定な場合や、遅延を最小限に抑えたい音楽制作・動画編集のモニタリング用途で役立ちます。
接続トラブルシューティング:認識されない場合の対処法
万が一、再生機器に接続してもケースが認識されない場合は、以下の点を確認しましょう。
- ケーブルの確認: ケーブルが完全に奥まで差し込まれているか、断線していないかを確認します。
- ケースのモード: ケースがトランスミッターモードになっているか(ディスプレイ表示を確認)。
- 再生機器のオーディオ設定: 機器側の音声出力先が、正しく外部USBデバイス(JBL TOUR PRO 3)に設定されているかを確認します。特にPCでは、デフォルトのスピーカー設定が優先されている場合があります。
まとめ:TWSの概念を覆すTOUR PRO 3トランスミッターの価値
JBL TOUR PRO 3のトランスミッター機能は、単なる付加機能ではなく、この製品を市場で唯一無二の存在に押し上げるコアバリューです。超低遅延のLC3plus技術により、PS5での競技性の高いゲームプレイを可能にし、強力なANCとの組み合わせにより、長距離フライトを「ファーストクラス級の快適さ」に変えます。

ワイヤレスイヤホン(TWS)、高性能ANCヘッドホン、そして万能なBluetoothトランスミッターとして、「一台三役」を完璧にこなすTOUR PRO 3は、「音質にもこだわり、幅広いシチュエーションでTWSを使いたい」と考えるすべてのユーザーにとって、最も高い価値を提供する「聴覚拡張ガジェット」であると言えるでしょう。


















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