「ワイヤレスヘッドホンで、音質だけは絶対に妥協したくない」
もしあなたがそう考えているなら、SENNHEISER(ゼンハイザー)の『MOMENTUM 4 Wireless(以下M4W)』は、現時点で到達できる一つの「正解」です。
発売から時間が経過し、ファームウェアのアップデートや価格の変動を経た今だからこそ見えてくる真実があります。カタログスペックだけでは分からない「生活の中での使い心地」、そして多くのユーザーが懸念する「不具合」や「弱点」について、半年間使い倒した実機レビューとして包み隠さずお伝えします。
ライバル機であるSony WH-1000XM5との詳細な比較も含め、あなたがこのヘッドホンを選ぶべきか、それとも見送るべきか、その判断材料をすべて提供します。
結論:MOMENTUM 4 Wirelessは「音質」と「バッテリー」の到達点
結論から申し上げます。M4Wは、**「ノイズキャンセリングワイヤレスヘッドホン史上、最高峰の音質とスタミナ」**を求める人にとって、唯一無二の選択肢です。
- ✅ 最高峰の音質: 42mmドライバーが奏でる、深く、広く、生々しいサウンド。
- ✅ 驚異のバッテリー: ANCオンで60時間再生。充電のストレスからの完全な解放。
- ✅ 装着感: 長時間聴いても疲れない、極上のイヤーパッド。
一方で、Sony WH-1000XM5のような「デジタルガジェットとしての完璧な利便性」や「最強のノイズキャンセリング」を期待すると、肩透かしを食らう部分があるのも事実です。このあたりを深掘りしていきます。
半年使ってわかった「最高」のメリット詳細
私がM4Wを使い続けて手放せなくなった理由は、以下の3点に集約されます。
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1. 有線を超えた?aptX Adaptiveと42mmドライバーの音質
M4Wの最大の武器は、間違いなくそのサウンドクオリティです。
圧倒的な音場と解像度
多くのワイヤレスヘッドホンが「聴きやすさ」を重視して音の角を丸める中、M4Wは42mmのダイナミックドライバーを搭載し、6Hz〜22kHzという広大な周波数特性を実現しています。
実際に聴いてみると、ゼンハイザーらしい**「自然で立体的」な音作りが際立ちます。
特に素晴らしいのが中低音の表現力**です。ベースやドラムのキック音は、単に「ドン」と鳴るだけでなく、その後の空気の振動や余韻まで感じ取れるほど濃厚。それでいて、ボーカルや高音域がマスクされることなく、クリアに伸びていきます。
- 相性の良いジャンル: ロック、ヒップホップ、大編成のオーケストラ(臨場感が段違いです)
- コーデック: aptX Adaptive (96kHz/24bit) に対応しており、対応スマホ(Xperiaや一部のAndroid)と組み合わせた時の情報量は、ワイヤレスの常識を覆します。
2. 充電器を持ち歩かなくなる「60時間バッテリー」の衝撃
カタログスペックの「最大60時間再生(ANCオン)」は、実際に生活で使うと革命です。
競合のSony WH-1000XM5が最大30時間であるのに対し、M4Wはその2倍。
例えば、片道1時間の通勤で毎日2時間使用したとしましょう。
- 1週間で:14時間
- 1ヶ月で:約60時間
つまり、**「平日は充電不要」どころか、「月1〜2回の充電で済む」**という計算になります。
この「バッテリー残量を気にしなくていい」という精神的な解放感は、一度味わうと戻れません。万が一充電が切れても、10分の充電で約4〜6時間再生できる急速充電機能があるため、朝の支度中にリカバリーが可能です。
3. マルチポイントと装着感の「実用性」
音質だけでなく、使い勝手もフラッグシップ級に洗練されています。
- aptX Adaptiveでのマルチポイント接続:これが非常に重要です。他社製品では「高音質コーデックを選ぶとマルチポイント(2台同時接続)が使えない」という制約がある場合が多いですが、M4WはaptX Adaptive接続のまま、PCとスマホの同時待ち受けが可能です。仕事中にPCで会議をしつつ、スマホの着信も逃さない、という運用が高音質のまま行えます。
- 包容力のある装着感:イヤーパッドとヘッドバンドのクッションは「モチモチフワフワ」。側圧も適切で、私は3〜4時間の連続使用でも耳の痛みを感じませんでした。
買ってから後悔しないために知るべき「弱点」と「不具合」
ここからは、購入前に必ず知っておくべき「ネガティブな側面」について、忖度なしに解説します。
1. ノイキャンの「圧迫感」とSonyとの違い
M4Wのノイズキャンセリング(ANC)は非常に強力ですが、その性質には癖があります。
- パワー型ANC:周囲の騒音を力技で消し去るタイプで、ANCをオンにした瞬間に**「ツン」とするような耳への圧迫感(キャビンプレッシャー)**を感じる場合があります。
- 静寂性の質:Sony WH-1000XM5が「フッと静寂が訪れる自然なANC」だとすれば、M4Wは「真空パックされたような静寂」です。この圧迫感が苦手な方は、長時間使用で酔うような感覚を覚える可能性があります。
2. 折りたたみ不可による携帯性の低下
前モデル(MOMENTUM 3 Wireless)は折りたたみが可能でしたが、M4Wは折りたたみ非対応となりました。
付属のキャリングケースは平たく収納するタイプですが、面積が大きく、薄型のビジネスリュックなどではかなり場所を取ります。「常に首にかけて持ち歩く」スタイルなら問題ありませんが、頻繁にバッグにしまう方にはマイナスポイントです。
3. ファームウェアと接続安定性のリアルな現状
M4Wを検討する上で避けて通れないのが、ファームウェアやソフトウェアにまつわる報告です。
- 特定の不具合報告:過去のバージョン(v2.x系やv3.35.6周辺など)において、「音楽を一時停止した際にコイル鳴きやビープ音のようなノイズが発生する」「右側から異音がする」といった報告がSNSや掲示板で散見されました。ゼンハイザー側も調査と修正を行っていますが、個体差や環境依存(特定のコーデックとの組み合わせ)によって発生頻度が異なるようです。
- アプリの挙動:専用アプリ「Smart Control」の接続に時間がかかったり、タッチ操作の感度が良すぎて意図せず反応してしまったりすることがあります(タッチ感度はアップデートで改善傾向にあります)。
- 対策:購入後は必ず最新のファームウェアにアップデートすることをお勧めしますが、安定しているバージョンの場合は「あえてアップデートを待つ」という自衛手段をとっているユーザーもいます。
徹底比較:MOMENTUM 4 Wireless vs Sony WH-1000XM5
「結局、Sonyとどっちがいいの?」という疑問に答えるため、スペックと使用感を徹底比較しました。
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比較表
| 項目 | SENNHEISER MOMENTUM 4 Wireless | Sony WH-1000XM5 | 判定 |
| 実勢価格 | 約40,000円〜45,000円前後 | 約48,000円〜55,000円前後 | M4Wが割安 |
| 音質傾向 | 濃厚・立体的・高解像度 (低音◎) | フラット・クリア・聴き疲れなし | M4W優位 |
| 対応コーデック | SBC, AAC, aptX, aptX Adaptive | SBC, AAC, LDAC | 互角(端末による) |
| バッテリー(ANC ON) | 最大60時間 | 最大30時間 | M4W圧勝 |
| ノイズキャンセリング | 強力だが圧迫感あり | 最強かつ自然 | Sony優位 |
| 外音取り込み | 実用レベル | 非常に自然(会話可能) | Sony優位 |
| 通話マイク性能 | 普通 | 非常にクリア(AI処理) | Sony優位 |
| マルチポイント | aptX Adaptiveと併用可 | LDAC時は使用不可の場合あり | M4W優位 |
| 装着感 | 包み込む柔らかさ | 軽快で側圧弱め | 好みによる |
| 重量 | 約293g | 約250g | Sonyが軽い |
「音質」重視ならゼンハイザー一択の理由
もしあなたの優先順位の1位が「音楽に没頭すること」であれば、迷わずM4Wを選んでください。
Sony XM5の音も素晴らしいですが、優等生すぎて「面白み」に欠けると感じる場合があります。M4Wが鳴らす、心臓に響くようなバスドラムや、弦楽器の震えるような余韻は、**「音楽を聴く喜び」**を思い出させてくれます。
「機能性」重視ならSonyを選ぶべき理由
一方で、「カフェでBGMとして使いたい」「Web会議でも頻繁に使う」「電車のアナウンスを聴き逃したくない」という用途なら、XM5がおすすめです。
Sonyの「スピーク・トゥ・チャット(話すと自動で音楽停止)」や、圧倒的に自然な外音取り込み機能は、**「ヘッドホンをつけたまま生活する」**ことを可能にします。
まとめ:あなたはどちらを買うべきか
SENNHEISER MOMENTUM 4 Wireless を買うべき人:
- 📦 音質最優先。有線ヘッドホン並みの感動をワイヤレスで味わいたい。
- 📦 充電が面倒。2〜3週間に1回の充電で済ませたい。
- 📦 Androidユーザー(特にaptX Adaptive対応スマホ持ち)。
- 📦 少しでも安く、ハイエンドの体験を手に入れたい(Sonyより実勢価格が低め)。
Sony WH-1000XM5 を見送るべき人:
- ⚠️ ドンシャリや濃厚な音が好きで、フラットな音では物足りない人。
- ⚠️ マルチポイント接続時でも最高音質(LDAC)を維持したい人(設定が複雑になるため)。
MOMENTUM 4 Wirelessは、細かいソフトウェアの粗やデザインの好みはあるものの、「音を鳴らす」というヘッドホンの本質において、他の追随を許さない完成度を誇ります。
この静寂と轟音のコントラストを、ぜひあなたの耳で体験してみてください。


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