序章:ワイヤレスオーディオの常識を覆す「音質最強の旗艦」は本物か?
読者の皆様へ:あなたの「妥協」の終着点
ワイヤレスイヤホンの進化は目覚ましいものがありますが、未だに多くのオーディオファンが抱える根源的な問いがあります。「最高の利便性(NC、マルチポイント)と、有線に匹敵する音質の両立は、本当に可能なのか?」
多くのメーカーがフラッグシップ機を投入し、高価格帯の競争が激化する中で、英国の老舗オーディオブランド、Bowers & Wilkins(B&W)が2024年9月に市場に解き放ったのが、この完全ワイヤレスイヤホン、Pi8です。
Pi8は、ただのアップデートではありません。「現時点で音質最強のワイヤレスイヤホンに並ぶ実力」「ワイヤレスイヤホンのなかで一番良いジャンルがある」とまで評され、その価格帯からも「クラス最高のオーディオ性能」を本気で追求していることが伺えます。
このPi8が本当にその価格に見合う価値があるのか、そして、音質、ノイズキャンセリング(NC)、そして待望のマルチポイント接続がどのように融合されているのかを、徹底的に解剖します。これは、単なる製品レビューではなく、ワイヤレスオーディオの未来を決定づける一つの指標を評価する試みです。
さあ、Pi8があなたのオーディオライフにもたらす「圧倒的な良さ」とは何か、その深層を一緒に探りましょう。
1. 魂を揺さぶるサウンド体験:Pi8の音質と高音質再生技術の深掘り
Pi8が他のハイエンドモデルと一線を画す最大の理由は、その音質の進化にあります。前作Pi7(S2)の「BAとダイナミックドライバーの繋がり」に関する微細な懸念点を、Pi8はいかにして乗り越えたのでしょうか?

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(1) 新世代ドライバーとディスクリート構成が織りなす「美音」の秘密
Pi8は、音の心臓部を根本から見直しました。
① カーボンコーン技術の継承
最大の変更点は、ドライバー構成です。前作のハイブリッド構成を捨て、Pi8は新開発の12mmカーボンコーン振動板ダイナミックドライバー1基構成へと刷新されました。これは、B&Wのフラッグシップワイヤレスヘッドホン「Px8」に採用されているものと同様のカーボンコーン技術がTWSに移植されたことを意味します。
これにより、Pi7(S2)時代には分散していたエネルギーが一本化され、再生レンジ全体で圧倒的に良い音質、特にシームレスで自然な音の繋がりを実現しています。
② 妥協なき「ディスクリート」設計
単なる高性能ドライバーの搭載に留まりません。Pi8は、Bluetoothチップセット内蔵のDACやアンプに頼るだけでなく、そこから独立したディスクリート構成のアナログデバイス性のDSP、DAC、アンプを搭載しています。これは、限られたスペースに高音質のための専用回路を惜しみなく投入したという証拠です。
専門家によると、この設計アプローチこそが「可能な限りの解像度と精度」を担保し、B&Wが目指す「広い音場を余韻感たっぷりに鳴らす響きの良い美音系サウンド」の土台となっています。
(2) ロスレス時代をリードする対応コーデック
音源の情報を最大限に引き出すため、Pi8は現行の最高峰コーデックに対応しています。
- aptX Lossless: 44.1kHz/16bitのCD品質のロスレスサウンドに対応。データ圧縮による音質の劣化を気にすることなく、アーティストが意図した音源を忠実に再現します。
- aptX Adaptive: LDACと同等の最大96kHz/24bitのハイレゾ再生に対応。接続環境に応じてビットレートを動的に調整し、高音質と安定性を両立させます。
(3) 音の傾向:ジャズ・クラシックで「最強クラス」を証明
Pi8の音は、中低音に芯があるドンシャリ感を持ちつつも、その解像度と繊細さが特筆されます。音に包まれるような臨場感、奥行き、広がりを感じられるサウンドは、リスニング体験を一段上のレベルへと引き上げます。
| 音域 | 評価の要点 | 洞察(Expertise) |
|---|---|---|
| 低音 | とても深みがあり、解像感も高く鳴らす上質な低音。量と質ともによいバランスで迫力がある。 | ベースラインやキックドラムの輪郭が明確で、重厚さの中にスピード感も同居する。 |
| 中音/ボーカル | ボーカルはクリアで適度な距離感。艶感たっぷりで質感は高い。コーラスの描写がクッキリしており、立体感が増す。 | 女性ボーカルの息遣いや、楽器隊との分離感が優秀で、埋もれることがない。 |
| 高音 | 繊細さと瑞々しさを両立した美しく伸びる高音。最上級クラスの伸びの良さがある。 | 中高域のブラス楽器の表現力は「全ワイヤレスイヤホン史上NO.1クラスの実力で鳥肌レベル」と評されるほど、B&Wの真骨頂が発揮されている。 |
| 得意なジャンル | ジャズ・クラシックはワイヤレスイヤホンの中で「最強クラス」。EDMやヒップホップなどのノリの良い音楽にも。 | 広大な音場表現は、アコースティックやオーケストラで真価を発揮する。 |
(4) 高音質を全てのデバイスへ:革新的なトランスミッター機能
Pi8の最も革新的な特徴は、充電ケースに搭載されたオーディオ・リトランスミッション(Bluetooth送信機)機能です。
多くのiPhoneユーザーが悩むのは、AppleデバイスがaptX Adaptiveに対応していない点です。しかしPi8のケースは、この問題を力ずくで解決します。
【仕組み】
- 充電ケースをUSBケーブルでiPhoneやPCなどのAAC/SBCデバイスに有線接続する。
- ケースが有線で受け取ったデジタル信号を、内蔵の高性能プロセッサによってaptX Adaptive(96kHz/24bit)へと変換する。
- 変換された高音質信号をPi8本体にワイヤレス送信する。
これにより、「iPhoneでもワンステップでハイレゾ級の音質」が実現します。トランスミッターは、飛行機内のエンターテイメントシステムや、Bluetooth非対応のオーディオ機器に接続して、Pi8をワイヤレス化できるという、利便性においても極めて高い評価を受けています。これは、音質を追求するB&Wならではの、ユーザーエクスペリエンスを高めるための巧妙な一手と言えるでしょう。
2. 集中と安心の両立:ノイズキャンセリング(NC)と外音取り込みの評価
フラッグシップモデルとして、Pi8は音質だけでなく、現代TWSに不可欠なノイズキャンセリング機能も大幅に強化してきました。B&Wが独自開発した新しいANCアルゴリズムは、どのように実用性を高めているのでしょうか。

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(1) NC性能:音楽再生の品位を損なわない遮音性
Pi8のノイズキャンセリング性能は、「十分実用的」という評価で、特に低音域の遮断能力に優れています。
最新の計測データによると、Pi8は電車の走行音を平均17.2dB低減できると報告されています。これは、特に低域の「ゴォォォ」という振動音をしっかりカットできることを示しています。
多くのNC特化型イヤホンが低域を強力にカットするあまり、音楽の低音成分まで不自然に変化させてしまうことがありますが、Pi8の設計思想は「音楽再生の品位に影響を与えることなく、不要なノイズだけを取り除く」ことにあります。
さらに、他機種でストレスとなりがちな、サーっとバックで鳴るホワイトノイズは少なめで、屋外での風切り音も静かであるため、移動中やオフィスでの使用においても高い集中力を提供してくれます。
(2) ユーザビリティの進化:待望の手動切り替え
外音取り込み(パススルー)機能は、「自然な聴こえ方」で、実用性は高いレベルにあります。
ここで特筆すべきは、前モデルPi7/Pi7 S2での最大の欠点の一つが解消された点です。以前はアプリ経由でしか切り替えられず不便でしたが、Pi8では左側のタッチボタンの長押しで、NCモードと外音取り込みモードを瞬時に切り替え可能となりました。
これは、ユーザーからのフィードバックを真摯に受け止め、利便性を大幅に向上させた証であり、日常使いにおける信頼性を大きく高めています。
3. 利便性の追求:マルチポイント接続、デザイン、そしてコスト
音質特化型であるPi8ですが、現代のハイエンドモデルに求められる利便性も取り入れています。特に、これまでB&WのTWSで実現されていなかった機能の搭載は、多くのユーザーにとって朗報です。

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(1) B&W初対応!シームレスなマルチポイント接続
ついに、Pi8は2台のデバイスを同時に接続し、シームレスに切り替えられるマルチポイント接続に対応しました。
ビジネスとプライベートでスマートフォンとPCを使い分けるユーザーにとって、この機能は欠かせません。Pi8は2台のデバイスに自動で接続され、再生デバイスを切り替える際に2〜3秒のラグはありますが、挙動全般に安定しており、フラッグシップにふさわしい利便性を提供します。
(2) 美しさと実用性を両立するデザインと装着感
① 高級感あふれる外観
Pi8のデザインは「ピアノブラック調の漆黒ハウジングに光沢感のあるB&Wロゴ」など、「完璧ともいえるデザインの美しさ」を誇ります。シンプルながらも所有欲を満たす高級感があり、カラーバリエーションも4色(アンスラサイト・ブラック、ダブ・ホワイト、ミッドナイト・ブルー、ジェイド・グリーン)と豊富です。
② 安定した装着感と懸念点
人間工学に基づき設計されており、装着面にはイヤーフィンのようなシリコン素材の突起部があるため、安定したフィット感を実現しています。歩行中に装着位置がブレる心配が少なく、アクティブなシーンでも安心です。
【正直なレビュー】
しかし、装着感に関しては一つ注意点があります。編集部で複数のテスターが試用したところ、2〜3時間つけっぱなしにした際、特に耳の軟骨部に圧迫感があり、耳が痛くなる感覚があるという意見も散見されました。これは、深い音響性能を確保するためのハウジング設計のトレードオフである可能性が高いです。購入前には必ず試着し、ご自身の耳型との相性を確認することが重要です。
(3) 操作性とバッテリー、そして価格
| 項目 | Pi8の評価 | 注意点 |
|---|---|---|
| 操作性 | 曲の再生/停止、スキップなどの基本操作はイヤホン本体で完結。操作性は良好。 | 長押し操作に対して「ノイズキャンセリング&音声アシスタント」か「音量調整」のどちらか一方しか割り当てられない点が、カスタマイズ性の不満点として挙げられる。 |
| バッテリー | NC ONでイヤホン単体最長6.5時間、ケース併用で合計20時間。 | 単体6.5時間は通勤・通学用途には十分だが、ハイエンドモデルとしては「やや短め」の部類に入る。急速充電(15分で2時間以上再生)には対応。 |
| 価格 | 最安価格は¥55,000〜¥64,000程度(2025年10月現在)。 | フラッグシップモデルであり、非常に高価格帯に位置する。この価格に見合う「音質」へのこだわりが求められる。 |
4. Pi8の総合評価まとめと、あなたへの提言
Pi8は、Bowers & Wilkinsが誇るオーディオ哲学を、TWSというフォーマットに凝縮した、まさに「音質特化型の最高峰」です。すべての評価項目を総括し、どのようなユーザーにとって最適な選択肢となるのかを明確にします。

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Pi8 最終評価
| 評価項目 | Pi8の特長と評価 | 総合評価(5点満点) |
|---|---|---|
| 音質 | aptX Lossless/Adaptive対応。新カーボンコーンによる広い音場と高い解像度。特にジャズ、クラシックで最強クラス。 | 4.85 |
| トランスミッター | ケースがaptX Adaptive送信機に。iPhoneでもハイレゾ級再生を可能にする革新的機能。 | 4.90 |
| ノイズキャンセリング | ANC性能は「十分実用的」。低音域を主に低減し、音質を損なわない設計。 | 4.26 |
| 利便性/機能性 | B&W初となるマルチポイント接続に対応。外音取り込みの手動切り替えが可能。 | 4.70 |
| バッテリー | NC ONでイヤホン単体6.5時間、ケース込み20時間。競合比でやや物足りなさあり。 | 3.80 |
Pi8は、「音質の良さが最重要であり、多少のコストは厭わない」というオーディオファンにとって、現時点(2025年10月)でのベストな選択肢の一つであると断言できます。
特に、B&Wが長年培ってきた「響きの良い美音系サウンド」が好きで、手持ちのデバイスがAACやSBCしか対応していなくても、トランスミッター機能を使って最高峰の音質を体験したいと考えるユーザーには、他に代えがたい価値を提供します。
結論:Pi8が示すワイヤレスの「本気」
Pi8は、価格やバッテリー性能といったTWSの一般的な制約を承知の上で、音質という本質にこだわり抜いた、非常に誠実な製品です。
もしあなたが、ノイズキャンセリング特化型のモデルで得られる「静寂」ではなく、高解像度なサウンドに包まれる「集中」を求めているのであれば、Pi8はその期待を遥かに超える体験を提供してくれるでしょう。
この音響革命の核心を、ぜひご自身の耳でご確認ください。製品の詳細や最新の販売情報は、Bowers & Wilkinsの公式サイトにてご覧いただけます。
▶︎ Bowers & Wilkins Pi8 公式サイトへ
編集後記:読者からのさらなる疑問に答える
Q: Pi8はランニングなどのスポーツ用途にも使えますか?
A: 装着感は安定していますが、完全な防水・防塵仕様(IP等級)が公表されていません。激しい運動や大量の汗をかく用途よりも、通勤や室内でのリスニングを推奨します。
Q: 他社のハイエンドモデル(例: WF-1000XM5やAirPods Pro 2)と比較して、Pi8の優位性は?
A: NC性能やバッテリー持続時間では競合に一歩譲る場面がありますが、Pi8は音場の広さ、解像度、そしてトランスミッターによる高音質再生の汎用性で優位に立ちます。Pi8は「音質優先」、他社は「機能と汎用性優先」という棲み分けが明確です。


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