最高の相棒、その「不完全な完成」からの脱却
長らくデジタルクリエイター、プログラマー、そして高度な事務作業者にとってのデファクトスタンダードであり続けたロジクールのMX Masterシリーズ。
特に前モデルMX Master 3Sは、静音クリック、MagSpeed電磁気スクロール、8,000DPIのDarkfieldセンサーという最強の組み合わせを持ち、「これ以上進化の余地はない」とさえ言われていました。しかし、時間が経てば、どんな最高のツールにも僅かながら不満点が浮き彫りになります。経年によるラバーコーティングのベタつき、そして何よりも「次の時代の生産性」に対応しきれない操作体系です。
ロジクールは6年ぶりとなるフラッグシップモデル、MX Master 4(MX4)を市場に投下しました。これは単なるマイナーチェンジではありません。従来の機能性を維持しつつ、「触覚フィードバック」と「Actions Ring」という二つのゲームチェンジャーを搭載した、デジタルインターフェースの概念を覆す挑戦です。
このMX Master 4を徹底的に検証しました。MX Master 3Sユーザーは、本当に高価な買い替えを行うべきなのか?本記事では、その疑問に対し、機能、耐久性、操作性の全てを徹底比較し、決定的な判断基準を提供します。
1. MX Master 4(MX4)レビュー:生産性を再定義する新体験
MX Master 4は、単なる高性能マウスではなく、「指先の感覚を拡張するインターフェース」へと進化しました。この進化は、すでにPCMagで「Exemplary(模範的)」の評価を獲得し、ビジネス向けマウスの最高峰としてエディターズチョイス賞を受賞していることからも明らかです。
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1-1. MX Master 4の核となる新機能と体験価値
MX4が3Sと一線を画すのは、ユーザーに物理的なフィードバックを与える能力と、操作の複雑性を劇的に解消する能力です。
1. 触覚フィードバック(Haptic Sense):指先に「確信」を与える
MX Masterシリーズで初めて搭載されたこの機能は、親指エリアの「触覚フィードバック センスパネル」を通じて微細な振動を返します。これはまるで、スマートフォンが操作完了を通知するように、PC操作にも触覚的な確認をもたらします。
- クリエイティブな没入感: Adobe Lightroomでのパラメーター調整時、スライダーが限界値に達すると指先に「ぷるん」とした振動が伝わります。これは、画面を注視せずとも、操作が正しく完了したことを物理的に教えてくれるため、作業への没入感を一切損ないません。まるで、ダイヤルに微細なクリック感が生まれたかのような、アナログ的な確信を得られます。
- Web会議での安心感: ZoomやTeamsでミュート/ミュート解除、誰かが発言を求めた(挙手した)際、振動で通知されます。これにより、画面の小さなポップアップを見逃すことがなくなり、会議中のストレスが軽減されます。
- カスタマイズ性: 専用ソフトウェアLogi Options+により、振動の強度(4段階)やタイミングをアプリケーションごとに調整できるため、ユーザーの指先になじむようにチューニング可能です。
2. Actions Ring(アクションズリング):AI時代に対応したショートカット革命
従来のジェスチャー操作を発展させたActions Ringは、親指パネルを押すだけで画面中央にリング状のショートカットメニュー(8つのアクション)を瞬時に呼び出す機能です。驚くべきはその効率化の度合いです。
ロジクールの最新の実験データによると、この機能の活用により、マウス移動量を最大63%、作業時間を最大33%削減できるとされています。これは、複雑なショートカットキーや、画面上部のメニューまでカーソルを移動させる手間を完全に排除できるからです。
- AIツールの瞬時起動: 2025年現在、業務効率化にAIツールは不可欠です。Actions Ringには、ChatGPT、Gemini、PerplexityなどのAIツールへの直結ショートカットが標準搭載されており、アイデアが浮かんだ瞬間にAIアシスタントを呼び出せます。
- Easy-Switchの統合: 従来、マウスを裏返さなければ操作できなかったデバイス切り替え(Easy-Switch)機能もActions Ringに割り当て可能になりました。マルチデバイス環境における摩擦がゼロになります。
- 拡張性: 8つのメインアクションの先に、さらに9つの機能を設定できるため、理論上合計72個の操作をこのマウスだけで登録・実行可能です。これは、もはやマウスというよりも、拡張性の高いクリエイティブコントローラーと呼ぶべきでしょう。
1-2. デザイン、耐久性、操作性の劇的改良
MX Master 3Sのエルゴノミクスデザインはそのままに、MX4は長年の懸念事項であった耐久性の問題に真正面から取り組みました。
- 耐久性の向上(加水分解への対策): MX Masterシリーズ最大の泣き所であった「ラバーコーティングのベタつき(加水分解)」に対処するため、本体表面には汚れや摩耗を防ぐマイクロテクスチャー(微細加工が施された樹脂製カバー)を採用。左右クリックボタンには透明プレートが施され、長期間の使用に対する信頼性が格段に向上しています。
- サムホイールの操作性: 横スクロール用のサムホイールが、前モデルよりわずかに外側に突出するよう配置変更されています。これにより、指の腹との接触面積が増え、より少ない力で正確な横スクロールが可能になりました。
- クリック音のさらなる静音化: 3Sですでに静音クリックでしたが、MX Master 4は、複数のレビューで「3Sよりもさらに静かになった」と報告されています。極限まで静かな環境を求めるプロフェッショナルには朗報です。
- 接続安定性の強化: 内部のICチップ改良とアンテナ配置の最適化により、Logi Bolt接続の信頼性が前モデルの2倍に向上。電波干渉の多いオフィス環境や、ワイヤレスデバイスがひしめくホームオフィスでも安定した操作を提供します。
2. MX Master 4 vs MX Master 3S 違いの徹底比較
MX Master 4の進化は、デザインやセンサー性能といった基本要素よりも、操作と素材の刷新に焦点を当てています。ここでは、両モデルの具体的なスペック差を比較します。
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| 項目 | MX Master 4 (MX4) | MX Master 3S (MX3S) | MX4の主な進化点/変更点 | 編集長の洞察 |
|---|---|---|---|---|
| 発売時期 | 2025年10月30日 | 2022年 | 6年ぶりのフルモデルチェンジ | 最新技術の塊 |
| 価格(直販) | 21,890円(税込) | 18,590円(税込) | 約3,300円の価格上昇 | 新機能への投資額 |
| 新操作機能 | 触覚フィードバック / Actions Ring 搭載 | なし | 効率化と没入感の向上 | 最大のアップグレード理由 |
| ボタン数 | 8個 | 7個 | Actions Ring呼び出しボタンが追加 | より多くのカスタマイズ性 |
| 接続安定性 | 2倍に向上 | 標準 | 信頼性が大幅向上 | 業務中の途切れを防ぐ |
| レシーバー | Logi Bolt USB-C ドングル付属 | Logi Bolt USB-A ドングル付属 | 最新のPC環境に対応 | USB-C統一への流れ |
| DPI | 8,000 DPI | 8,000 DPI | センサー性能は同等 | 既存の高性能を維持 |
| バッテリー容量 | 650 mAh | 500 mAh | 容量増加 | ハプティクス機能の電力消費増に対応 |
| 重量 | 150 g | 141 g | MX4の方が9g重い | 携帯性よりも機能性優先 |
| 耐久性 | マイクロテクスチャー樹脂 採用 | ラバーコーティング | 加水分解/ベタつきへの決定的な対策 | 長期的な信頼性向上 |
| 充電ケーブル | 非同梱 | USB-C充電ケーブル同梱 | 環境配慮(コスト削減)か | 別途用意が必要 |
3. MX Master 3Sからの買い替え判断:あなたは「投資」すべきか?
MX Master 4は、MX Master 3Sが提供していた「快適性」の概念を、「直感性と耐久性」のレベルまで引き上げました。買い替えは単なるアップグレードではなく、未来の作業環境への投資と考えることができます。
以下に、あなたの業務内容や懸念に基づいた、明確な買い替え判断基準を示します。
買い替えを強く推奨するユーザー(MX Master 4が最適)
1. 劣化と耐久性に苛立っているプロフェッショナル
MX Master 3/3Sのラバー素材のベタつきを経験し、次のマウスには長期的な耐久性を求めるユーザーにとって、MX4のマイクロテクスチャー樹脂への変更は決定的な買い替え理由になります。ツールを長く、美しく使いたいならMX4一択です。
2. クリエイティブ作業での「精密なフィードバック」を求める人
触覚フィードバックは、特に動画・画像編集ソフト(Premiere Pro, DaVinci Resolve, Photoshop)で真価を発揮します。パラメーター調整の確実性が向上し、視覚的な確認から解放されるため、集中力(フロー状態)の維持が容易になります。プロのクリエイターほど、この没入感は生産性に直結します。
3. AI連携や複雑なショートカット運用を極めたい人
Actions Ringによる合計72パターンのショートカット登録能力は、従来のマウスの限界を超えます。AI連携を日常業務に深く組み込みたい、あるいは頻繁なデバイス切り替えをマウスを持ち上げずに行いたいユーザーにとって、MX4は必須のツールです。
4. 最新の接続規格に統一したい人
ノートPCのUSB-Cポートを有効活用したい、またはLogi BoltレシーバーをUSB-Cで使いたい場合、MX4はシームレスな環境を提供します。
買い替えは急がなくてもよいユーザー(MX Master 3Sで十分)
1. 既にMagSpeedと静音性に満足している人
MX Master 3Sの核となる機能(MagSpeedと静音クリック、8,000DPI)は、依然として業界最高水準です。純粋に「静かな場所で高速にスクロールしたい」という目的であれば、3Sで完全に満たされています。
2. コストパフォーマンスを最優先する人
MX Master 4は高機能な分、価格が上昇しました。MX Master 3Sは発売から時間が経ち、現在、実勢価格がこなれています。高性能を維持しつつ、予算を抑えたい場合は、3Sの在庫があるうちに購入するのが賢明な選択です。
3. マウスの重さを気にする人
MX Master 4(150g)は、3S(141g)よりも約9g重くなっています。これは、ハプティクスエンジンと大容量バッテリーによるものです。軽量マウスを好み、わずかな重量増でも疲労感につながると感じるユーザーは、3S、あるいはより軽量なMX Anywhere 3Sを検討する方が良いでしょう。
留意すべき点(MX4/3S共通の課題)
速度よりも持続性を優先した戦略:125Hzの壁
MX Master 4は、MX Master 3Sと同様に、ポーリングレート(マウスがPCに情報を送る頻度)が125Hzに設定されている可能性が高いです。これは一般的なゲーミングマウス(1000Hz)と比較して非常に低いです。高リフレッシュレート(144Hz以上)のモニターを使用している場合、特に高速なカーソル移動時に「カクつき」や遅延を感じる可能性があります。
これはロジクールがMX Masterシリーズを「バッテリー寿命と信頼性」を最優先した生産性ツールとして設計しているためです。高いDPI(8000)と低いポーリングレート(125Hz)の組み合わせは、精密なデザイン作業には優れていますが、競技的なゲームや非常に高速な操作には向きません。この点を理解した上で選択することが重要です。
携帯性のトレードオフ
MX Master 4はレシーバーとしてUSB-C Logi Boltドングルが付属しますが、マウス本体にレシーバーの収納スペースがありません。頻繁にマウスを外に持ち出し、カフェやコワーキングスペースでドングル接続して利用するユーザーは、ドングルを紛失しないよう細心の注意を払う必要があります。
結論:新時代の「触覚」と「効率」を掴む
MX Master 4は、単なるマウスの更新ではなく、デジタル作業における「フィードバックの質」と「操作の密度」を再定義した製品です。
MX Master 3Sが「快適なマウス」の完成形であったとするならば、MX Master 4は「直感的で、耐久性に優れ、AI時代に対応したインターフェース」の始まりです。特に、加水分解への対策、触覚フィードバックによる没入感、そしてActions Ringによるショートカットの拡張性は、プロの生産性を数段引き上げます。
もしあなたが、日々の業務効率を極限まで高めたい、または長年使ってきたラバーコーティングの劣化に終止符を打ちたいと考えるならば、MX Master 4は21,890円という価格以上の価値を提供してくれるでしょう。
あなたの指先が、次の時代の生産性を必要としているなら、今こそ投資の時です。
より詳細な製品情報、カラーバリエーション、および現在の在庫状況については、必ずロジクール公式サイトをご確認ください。
Q&A:読者から予測される疑問
Q1: MX Master 4は、Macのトラックパッドのようなジェスチャー操作ができますか?
A: 可能です。従来のジェスチャーボタン(MX Master 4では配置が変更されています)を押しながらマウスを動かすことで、デスクトップ切り替えやウィンドウ管理などのジェスチャー操作を実行できます。これはMX Masterシリーズの核となる機能の一つであり、MX4でも高度にカスタマイズ可能です。
Q2: MagSpeedスクロールの性能は向上しましたか?
A: MagSpeed電磁気スクロールホイールの基本的な技術と性能(1秒間に1000行スクロール可能)は3Sから継承されています。大きな違いはありませんが、MX4では垂直スクロールホイールに搭載されたSmartShift機能(高速モードとラチェットモードの自動切り替え)のアルゴリズムが、Logi Options+の改良に伴い、さらに洗練されている可能性があります。
Q3: バッテリー容量が増えたのに、なぜ充電ケーブルが非同梱なのですか?
A: ロジクールは近年、環境への配慮(サステナビリティ)とコスト最適化の観点から、多くの製品で充電ケーブルの同梱を廃止する傾向にあります。MX Master 4はUSB-C充電規格であるため、多くのユーザーが既に互換性のあるケーブルを所有しているという前提に基づいています。お持ちでない場合は、別途USB-Cケーブルをご用意ください。ただし、バッテリー容量は650 mAhに増強されており、ハプティクス機能を多用しても長期間の利用が可能です。


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