1. はじめに
- 高性能グラフィックボード、RX 9070 XTの登場 (Introduction of the High-Performance RX 9070 XT).
- AMD Radeon RX 9070 XTは、最新のゲームタイトルを高解像度かつ高フレームレートで楽しみたいエンスージアストや、要求の厳しいプロフェッショナルなアプリケーションを快適に動作させたいユーザーにとって、非常に魅力的な選択肢となる最新のグラフィックボードです。その性能は目覚ましく、ネイティブ4Kウルトラ設定でのゲームプレイにおいて、前世代のハイエンドモデルであるRX 7900 GREと比較して平均42%もの高速化を実現しています 。
- 具体的なゲームタイトルでのパフォーマンスを見てみると、『F1 24』では驚異の157 FPS、『God of War: Ragnarok』では非常に滑らかな109 FPS、『Horizon Zero Dawn Remastered』では美麗なグラフィックを99 FPSで体験できます。さらに、今後リリースが期待される『Call of Duty: Black Ops 6』においても74 FPSという高いフレームレートが予測されており、RX 9070 XTが将来のゲームにも十分に対応できるポテンシャルを秘めていることが伺えます 。
- マザーボードの重要性:RX 9070 XTの性能を最大限に引き出すために (The Importance of the Motherboard: To Maximize the Performance of the High-Performance RX 9070 XT).
- PCの心臓部とも言えるマザーボードは、CPU、メモリ、グラフィックボード、ストレージなど、すべてのコンポーネントを接続し、それらの連携を円滑に行うための基盤となる重要なパーツです。特に、RX 9070 XTのような高性能グラフィックボードの性能を最大限に引き出すためには、マザーボードの選択が非常に重要になります。
- 適切なマザーボードを選ぶことで、RX 9070 XTが持つポテンシャルを余すことなく発揮させることができ、ボトルネックとなる可能性を排除し、最高のゲーミング体験やクリエイティブな作業環境を実現することができます。逆に、マザーボードの選択を誤ると、RX 9070 XTの性能を十分に活かせず、期待したパフォーマンスが得られない可能性があります。
- 本記事の目的:RX 9070 XTに最適なマザーボード選びの決定版ガイド (Purpose of this Article: The Definitive Guide to Choosing the Best Motherboard for the RX 9070 XT).
- 本記事では、RX 9070 XTの性能を最大限に引き出すために、数多くの選択肢の中から最適なマザーボードを見つけ出すための徹底的な比較と選び方の決定版となる情報を提供します。
- 最新のAMDチップセットであるX870E、X870、B850を中心に、それぞれの特徴やRX 9070 XTとの相性、そして予算に応じた最適なマザーボードの選び方を詳しく解説していきます。マザーボード選びで考慮すべき重要な要素から、具体的なおすすめモデルの比較、そして最終的な選択のヒントまで、RX 9070 XTの性能を最大限に活かしたいすべてのユーザーにとって役立つ情報をお届けします。
目次
2. RX 9070 XTの主な仕様と要件

- GPU仕様 (GPU Specifications).
- AMD Radeon RX 9070 XTは、64個のコンピュートユニットと4096個のストリームプロセッサを搭載しており、複雑な計算処理を効率的に行うことができます 。これにより、高解像度でのゲームプレイや、ビデオ編集、3Dレンダリングなどの負荷の高いタスクにおいても、優れたパフォーマンスを発揮します。
- 動作クロックについては、ブーストクロックが最大2970 MHz、ゲームクロックが2400 MHzに設定されており、ゲームプレイ時には安定した高いパフォーマンスを提供します 。ASUSのPrime Radeon RX 9070 XT OC Editionでは、さらにOCモードを利用することでブーストクロックを最大3030 MHzまで引き上げることが可能です 。
- レイトレーシングやAIを活用した最新のゲームテクノロジーに対応するため、64個のレイアクセラレータと128個のAIアクセラレータが搭載されています 。これにより、よりリアルな光の表現や、AIによる画質向上技術などを体験することができます。
- グラフィック処理能力を示す指標として、ピークピクセルフィルレートは最大380.2 GP/s、ピーク半精度浮動小数点演算性能は97.3 TFLOPS、ピーク単精度浮動小数点演算性能は48.7 TFLOPSという高い数値を誇ります 。これらの数値は、RX 9070 XTが非常に強力なグラフィック処理能力を持っていることを示しています。
- メモリ仕様 (Memory Specifications).
- RX 9070 XTには、高速な16 GBのGDDR6メモリが搭載されており、複雑なシーンや高解像度テクスチャを扱うゲームにおいても、十分な容量を提供します 。
- メモリ速度は最大20 Gbpsに達し、256-bitのメモリインターフェースを通じて、最大640 GB/sという広帯域幅を実現しています 。この広帯域幅により、GPUは大量のデータを高速に処理することができ、ゲームやアプリケーションのパフォーマンス向上に貢献します。
- さらに、64 MBのAMD Infinity Cacheテクノロジーを搭載することで、GPU内のキャッシュヒット率を高め、メモリへのアクセス頻度を減らし、全体的なパフォーマンスを向上させています 。
- PCIeインターフェース (PCIe Interface).
- 現時点での公式な情報では、RX 9070 XTのPCIeインターフェースの世代は明記されていません。しかし、DisplayPort 2.1aとHDMI 2.1bという最新のディスプレイ出力をサポートしていることから、少なくともPCIe 4.0 x16インターフェースを搭載している可能性が高いと考えられます 。
- PCIe 4.0 x16は、現在のハイエンドグラフィックボードが必要とする十分な帯域幅を提供します。将来的には、より高い帯域幅を持つPCIe 5.0への対応も期待されます。
- 電力要件 (Power Requirements).
- RX 9070 XTの典型的なボード電力(TBP)は304Wであり、システム全体の安定性を確保するためには、最小でも750Wの電源ユニットが推奨されています 。
- 電源ユニットからの電力供給は、2つの8ピン補助電源コネクタを通じて行われます 。マザーボードを選ぶ際には、これらのコネクタを搭載している電源ユニットとの互換性を確認する必要があります。
- 接続性 (Connectivity).
- RX 9070 XTは、最新のディスプレイ規格であるDisplayPort 2.1aを1つ、そしてHDMI 2.1bを1つ搭載しています 。これにより、最新の高解像度モニターや高リフレッシュレートモニターとの接続が可能です。
3. RX 9070 XTに最適なチップセット

- AMD Ryzen 9000シリーズプロセッサとの互換性 (Compatibility with AMD Ryzen 9000 Series Processors).
- AMD Radeon RX 9070 XTは、最新のAMD Ryzen 9000シリーズプロセッサと組み合わせることで、その真価を発揮するように設計されています。これらのプロセッサは、高性能なゲーミングPCやプロフェッショナルなワークステーションの構築に最適な選択肢であり、RX 9070 XTの強力なグラフィック処理能力を最大限に引き出すことができます 。
- Ryzen 9000シリーズプロセッサに対応する主なチップセットとしては、エンスージアスト向けのX870EとX870、そしてより幅広いユーザー層をターゲットとしたB850が存在します 。
- ハイエンドチップセット:X870EとX870 (High-End Chipsets: X870E and X870).
- AMD X870Eチップセットは、AM5プラットフォームにおける最上位のチップセットであり、究極のパフォーマンスと最先端の機能を求めるユーザーに向けて設計されています 。このチップセットを搭載したマザーボードは、高度な電力供給システムを備えており、RX 9070 XTや高性能なRyzen 9000シリーズCPUのオーバークロックにも余裕で対応できます .
- X870Eチップセットの大きな特徴の一つは、PCIe 5.0をGPUとNVMe SSDの両方に対してフルサポートしている点です 。これにより、RX 9070 XTの持つポテンシャルを最大限に引き出すだけでなく、将来のより高速なグラフィックボードやストレージデバイスへのアップグレードにも柔軟に対応できます。また、Wi-Fi 7や複数のUSB4ポートなど、最新の高速接続規格を搭載しているモデルが多いのも魅力です . 特に、複数の高速NVMe SSDを搭載するユーザーにとっては、PCIeレーンの割り当てが最適化されたX870Eマザーボードが有利になります .
- X870チップセットもまた、高性能なシステム構築に適した選択肢となります。X870Eと同様にRyzen 9000シリーズプロセッサをサポートし、DDR5メモリにも対応しています 。ただし、USB4やPCIe 5.0 M.2スロットのサポートは、マザーボードのメーカーやモデルによってオプションとなる場合があります 。
- メインストリームチップセット:B850 (Mainstream Chipset: B850).
- AMD B850チップセットは、X870Eほどの最先端機能は必要としないものの、コストパフォーマンスに優れた高性能なシステムを構築したいユーザーにとって魅力的な選択肢です 。B850チップセットを搭載したマザーボードは、基本的なオーバークロック機能も備えており、RX 9070 XTとRyzen 9000シリーズプロセッサの組み合わせにおいても、十分なパフォーマンスを発揮することができます .
- B850チップセットもDDR5メモリをサポートしており、PCIe 5.0にも対応していますが、CPUから供給されるM.2ストレージ用のPCIeレーンが必ずしもGen 5である必要はなく、マザーボードメーカーの設計によってはGen 4となる場合もあります 。同様に、Wi-Fi 7やUSB4といった最新の接続機能も、B850チップセットではオプション扱いとなるため、マザーボードのモデルによって搭載されているかどうかが異なります .
- しかしながら、B850チップセットを搭載したマザーボードの中にも、X870チップセットに匹敵するほどの豊富な機能を備えたモデルも存在します 。そのため、B850マザーボードを選ぶ際には、個々の製品のスペックをしっかりと確認し、自身のニーズに合った機能が搭載されているかを見極めることが重要です。
- ローエンドチップセット:B840 (Low-End Chipset: B840).
- AMD B840チップセットは、さらにコストを抑えたエントリーレベルのチップセットであり、基本的なPC機能を提供するのに適しています 。B840チップセットは、PCIe Gen 4をサポートするA620チップセットよりも機能が限定されており、RX 9070 XTのような高性能グラフィックボードの性能を最大限に引き出すには、帯域幅や拡張性の面で制約が生じる可能性があります 。したがって、RX 9070 XTを搭載したハイエンドなゲーミングPCやワークステーションの構築を検討している場合は、B840チップセットは適切な選択肢とは言えません。
4. マザーボード選びで考慮すべき重要な要素

- PCIeの互換性 (PCIe Compatibility)
- RX 9070 XTはPCIe 4.0をサポートしている可能性が高い (The RX 9070 XT Likely Supports PCIe 4.0).
- AMD Radeon RX 9070 XTは、現時点ではPCIeインターフェースの世代が公式に発表されていませんが、その性能レベルと最新のディスプレイ出力(DisplayPort 2.1a、HDMI 2.1b)をサポートしていることから、PCIe 4.0 x16に対応している可能性が高いと考えられます。PCIe 4.0 x16は、現在のハイエンドグラフィックボードが必要とする十分な帯域幅を提供し、RX 9070 XTの性能をフルに発揮させる上で問題となることはありません。
- PCIe 5.0の利点:将来性とより高い帯域幅 (Benefits of PCIe 5.0: Future-Proofing and Higher Bandwidth).
- PCIe 5.0は、PCIe 4.0と比較して2倍の帯域幅を持つ最新のインターフェース規格であり、将来的に登場するさらに高性能なグラフィックボードや超高速NVMe SSDの性能を最大限に引き出すために重要になります 。
- ハイエンドチップセットであるX870Eを搭載したマザーボードでは、プライマリGPUスロットを含む複数のPCIeスロットでPCIe 5.0のサポートが保証されているモデルが多く存在します 。また、一部のX870チップセット搭載マザーボードでもPCIe 5.0をサポートしている場合があります。
- メインストリーム向けのB850チップセットもPCIe 5.0に対応していますが、プライマリGPUスロットでのPCIe 5.0サポートは必須ではなく、マザーボードのモデルによって異なる場合があります 。将来的なアップグレードを見据えるのであれば、PCIe 5.0をサポートしたマザーボードを選ぶことが賢明と言えるでしょう。
- RX 9070 XTはPCIe 4.0をサポートしている可能性が高い (The RX 9070 XT Likely Supports PCIe 4.0).
- VRM (電圧レギュレーターモジュール) の品質 (VRM (Voltage Regulator Module) Quality)
- 高性能CPUとGPUに必要な安定した電力供給 (Stable Power Delivery Required for High-Performance CPUs and GPUs).
- VRM(電圧レギュレーターモジュール)は、電源ユニットから供給される電力をCPUやGPU、メモリなどの各コンポーネントが要求する電圧に変換し、安定した電力を供給する非常に重要な役割を担っています 。特に、RX 9070 XTのような消費電力の大きい高性能グラフィックボードと、同じく高性能なAMD Ryzen 9000シリーズプロセッサを組み合わせる場合、マザーボードのVRMの品質がシステムの安定性とパフォーマンスに大きく影響します。
- RX 9070 XTの典型的なボード電力は304Wであり、これにCPUの消費電力が加わるため、マザーボードのVRMはこれらのコンポーネントに対して十分かつ安定した電力を供給できる必要があります。特に、CPUやGPUのオーバークロックを検討している場合は、より高品質で強力なVRMを搭載したマザーボードを選ぶことが不可欠です。
- フェーズ数とアンペア数 (Phase Count and Amperage).
- 一般的に、VRMのパワーフェーズ数が多いほど、より多くの電力を効率的に供給でき、発熱も分散されるため、安定性が向上します 。また、各フェーズが供給できる最大電流(アンペア数)も重要であり、高性能なコンポーネントを安定して動作させるためには、十分なアンペア数を確保できるVRMを選ぶ必要があります。
- 例えば、ASUS ROG Strix X870E-E Gaming WiFiは18+2+2フェーズで各フェーズ最大110AのVRMを搭載しており 、GIGABYTE X870E AORUS Masterは16+2+2フェーズのデジタルVRMを搭載しています 。これらのマザーボードは、高性能なCPUとGPUに安定した電力を供給できると考えられます。一方、MSI MAG B650 Tomahawk WIFIは14+2フェーズで各フェーズ80AのVRMを搭載しています 。
- 高品質なコンポーネントの重要性 (Importance of High-Quality Components).
- VRMを構成するコンデンサ、チョーク、MOSFETなどのコンポーネントの品質も、VRMの性能と寿命に大きく影響します 。高品質なコンポーネントを使用することで、電圧の変動を抑え、発熱を低減し、長期間にわたって安定した動作を実現できます。特に、固体コンデンサは電解コンデンサと比較して寿命が長く、高負荷な環境下でも安定した性能を発揮するため、高品質なマザーボードでは固体コンデンサが採用されていることが多いです 。
- 高性能CPUとGPUに必要な安定した電力供給 (Stable Power Delivery Required for High-Performance CPUs and GPUs).
- 冷却性能 (Cooling Performance)
- VRMとM.2スロットの冷却の重要性 (Importance of Cooling for VRM and M.2 Slots).
- 高性能なCPUやGPU、そして高速なNVMe SSDは、動作中に多くの熱を発生させます。特に、マザーボードのVRMは、高負荷時に大きな熱を持つ可能性があり、適切な冷却が行われないと、性能低下や部品の寿命短縮につながる恐れがあります 。
- 多くのマザーボードでは、VRM部分に大型のヒートシンクやヒートパイプを搭載することで冷却性能を高めています。例えば、GIGABYTE X870E AORUS Masterは、フィンアレイを備えた高度なVRM冷却機構を採用しています 。また、高速なNVMe SSDも発熱が大きいため、M.2スロットにも専用のヒートシンクが搭載されているマザーボードを選ぶことが推奨されます。ASUS ROG Strix X870E-E Gaming WiFiは、複数のM.2スロットにヒートシンクとバックプレートを備えており、効果的な冷却を実現しています 。
- ケースのエアフローの考慮 (Consideration of Case Airflow).
- マザーボード自体の冷却性能だけでなく、PCケース内のエアフローも非常に重要です 。適切なエアフローを確保することで、マザーボード上のコンポーネントだけでなく、RX 9070 XTを含むすべてのパーツから効率的に熱を排出することができます。高性能なGPUを使用する場合は、エアフローに優れたPCケースを選び、必要に応じてケースファンを追加することを検討しましょう。Fractal NorthやLian Li Lancool 207などが、エアフローに優れたケースとして挙げられています 。
- VRMとM.2スロットの冷却の重要性 (Importance of Cooling for VRM and M.2 Slots).
- メモリの互換性 (Memory Compatibility)
- DDR5サポートが必須 (DDR5 Support is Essential).
- AMDの最新プラットフォームであるAM5ソケットを採用したマザーボードは、DDR5メモリのみをサポートしています 。RX 9070 XTと組み合わせるRyzen 9000シリーズプロセッサもDDR5メモリに対応しているため、マザーボードを選ぶ際にはDDR5メモリのサポートが必須となります。DDR4メモリはAM5プラットフォームでは使用できないため、注意が必要です。
- 速度と容量 (Speed and Capacity).
- DDR5メモリには様々な速度の製品があり、一般的に速度が速いほどシステムのパフォーマンス向上に貢献します。RX 9070 XTと組み合わせる場合、DDR5-6000 MT/s以上の速度を持つメモリを選ぶことが推奨されます 。マザーボードのスペック表には、サポートするメモリの最大速度が記載されているため、確認が必要です。例えば、GIGABYTE X870E AORUS Masterは最大8600 MT/sのDDR5メモリをサポートしています 。
- メモリ容量については、ゲーム用途であれば16GBまたは32GBが一般的ですが、より多くのメモリを必要とするゲームやアプリケーション、例えば動画編集や3Dレンダリングなどを行う場合は、32GB以上の容量を検討すると良いでしょう。多くのAM5マザーボードは、最大128GBまたは192GBのDDR5メモリをサポートしています 。
- AMD EXPOとIntel XMPのサポート (Support for AMD EXPO and Intel XMP).
- AMD EXPO(Extended Profiles for Overclocking)とIntel XMP(Extreme Memory Profile)は、メモリの定格速度やタイミングなどの設定をBIOS上で簡単に適用できるプロファイルです。これらのプロファイルをサポートするマザーボードとメモリを選ぶことで、DDR5メモリの持つポテンシャルを最大限に引き出すことができます。多くのAM5マザーボードは、AMD EXPOとIntel XMPの両方をサポートしています 。
- DDR5サポートが必須 (DDR5 Support is Essential).
- 拡張スロットとストレージオプション (Expansion Slots and Storage Options)
- 追加のPCIeスロット (Additional PCIe Slots).
- RX 9070 XT以外にも、サウンドカードやキャプチャーボード、ネットワークカードなどの拡張カードを使用する予定がある場合は、マザーボードに十分な数のPCIeスロットが搭載されているかを確認する必要があります。特に、複数のGPUを搭載する予定がある場合は、x16レーンをサポートするPCIeスロットの数も重要になります。
- M.2スロットの数と種類 (Number and Types of M.2 Slots).
- 高速なNVMe SSDを複数使用したい場合は、マザーボードに搭載されているM.2スロットの数を確認しましょう。最新のハイエンドマザーボードでは、PCIe 5.0をサポートするM.2スロットが搭載されているモデルも増えています 。例えば、ASUS ROG Strix X870E-E Gaming WiFiは5つのM.2スロットを搭載しており、そのうち3つがPCIe 5.0に対応しています 。
- SATAポート (SATA Ports).
- 従来のSATA接続のSSDやHDDも使用する場合は、マザーボードに搭載されているSATAポートの数も確認しておきましょう。多くのマザーボードには、4つ以上のSATAポートが搭載されています。
- 追加のPCIeスロット (Additional PCIe Slots).
- 接続性 (Connectivity)
- USBポートの種類と数 (Types and Number of USB Ports).
- PCに接続する周辺機器の数や種類に合わせて、十分な数のUSBポートが搭載されているかを確認しましょう。特に、高速なデータ転送が可能なUSB 3.2 Gen 2や、最新のUSB Type-Cポートの数も重要です。ハイエンドマザーボードでは、複数のUSB4ポートを搭載しているモデルもあります 。
- Wi-FiとBluetooth (Wi-Fi and Bluetooth).
- ワイヤレスでネットワークに接続したい場合や、Bluetooth対応の周辺機器を使用したい場合は、Wi-Fi機能とBluetooth機能が内蔵されたマザーボードを選ぶと便利です 。最新のWi-Fi 6EやWi-Fi 7に対応したマザーボードを選ぶことで、より高速で安定したワイヤレス通信が可能になります。
- イーサネット (Ethernet).
- 安定したネットワーク接続を求める場合は、有線LANポートの性能も重要です。多くの最新マザーボードでは、従来のGigabit Ethernetよりも高速な2.5GbE(2.5ギガビットイーサネット)ポートを搭載しており、より快適なオンラインゲームや大容量ファイルのダウンロード、ストリーミングなどを楽しむことができます 。
- USBポートの種類と数 (Types and Number of USB Ports).
- フォームファクター (Form Factor)
- ATX、Micro-ATX、Mini-ITXの違い (Differences Between ATX, Micro-ATX, and Mini-ITX).
- マザーボードには、主にATX、Micro-ATX、Mini-ITXという3つのフォームファクターがあります。ATXは最も一般的なサイズで、拡張性が高く、多くの機能を搭載できるのが特徴です 。Micro-ATXはATXよりも小型で、省スペースなPCを組みたい場合に適しています。Mini-ITXはさらに小型で、コンパクトなゲーミングPCやHTPC(ホームシアターPC)の構築に用いられます。使用するPCケースのサイズに合わせて、適切なフォームファクターのマザーボードを選びましょう。
- ATX、Micro-ATX、Mini-ITXの違い (Differences Between ATX, Micro-ATX, and Mini-ITX).
5. RX 9070 XTにおすすめのマザーボード徹底比較

モデル | チップセット | VRM (フェーズ/電流) | PCIe GPUスロット | PCIe 5.0 M.2スロット数 | 最大メモリ速度 | Wi-Fi | イーサネット | USB Type-C (背面) | フォームファクター |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ASUS ROG Strix X870E-E Gaming WiFi | X870E | 18+2+2 (110A) | 5.0 x16 | 3 | 8400+ MT/s (OC) | 7 | 5GbE | 2 | ATX |
GIGABYTE X870E AORUS Master | X870E | 16+2+2 (110A) | 5.0 x16 | 3 | 8600 MT/s (OC) | 7 | 5GbE | 2 | ATX |
MSI MEG X870E GODLIKE | X870E | 24+2+1 (110A) | 5.0 x16 x2 | 2 | 9000+ MT/s (OC) | 7 | 10G+5G LAN | 1 | E-ATX |
ASUS ROG Strix B850-A Gaming WiFi | B850 | 14+2+2 (80A) | 5.0 x16 | 1 | 8000+ MT/s (OC) | 7 | 2.5GbE | 1 | ATX |
GIGABYTE B850M AORUS Elite WIFI6E ICE | B850 | 12+2+2 (60A) | 5.0 x16 | 1 | 8200 MT/s (OC) | 6E/7 | 2.5GbE | 1 | Micro-ATX |
MSI MAG B650 Tomahawk WIFI | B650 | 14+2 (80A) | 4.0 x16 x2 | 0 | 6000+ MT/s (OC) | 6E | 2.5G LAN | 1 | ATX |
ASUS TUF Gaming B650-Plus WiFi | B650 | 8+2 (60A) | 5.0 x16 | 1 | 6400+ MT/s (OC) | 6E | 2.5G LAN | 1 | ATX |
ASRock B650M PG Riptide | B650 | 12+2+1 (50A) | 4.0 x16 x2 | 1 | 7200+ MT/s (OC) | なし/オプション | 2.5G LAN | 1 | Micro-ATX |
GIGABYTE B650 Eagle AX | B650 | 12+2+2 | 5.0 x16 | 1 | 6600 MT/s (OC) | 6E | GbE LAN | 1 | ATX |
ASUS Prime B650-Plus WiFi | B650 | 12+2 (60A) | 4.0 x16 x2 | 1 | 7600+ MT/s (OC) | 6E | 2.5GbE | 1 | ATX |
- ハイエンドゲーミング向け (For High-End Gaming).
- ASUS ROG Strix X870E-E Gaming WiFi : 最新のAMD X870Eチップセットを搭載し、Ryzen 9000シリーズプロセッサの性能を最大限に引き出すための強力な18+2+2フェーズのVRM(各フェーズ110A)を備えています。DDR5メモリは最大192GB、8400+ MT/s(OC)までサポートし、3つのPCIe 5.0 M.2スロットを含む計5つのM.2スロットを搭載。Wi-Fi 7とデュアルUSB4ポート、5GbEイーサネットなど、最先端の接続機能を備えています。包括的な冷却機構により、高負荷なゲーミングセッションでも安定した動作が期待できます。専門家レビューでもその性能と機能が高く評価されています 。
- GIGABYTE X870E AORUS Master : こちらもX870Eチップセットを搭載し、16+2+2フェーズのデジタルVRMにより、安定した電力供給を実現します。DDR5メモリは最大256GB、8600 MT/s(OC)までサポート。3つのPCIe 5.0 M.2スロットを含む4つのM.2スロットを搭載しています。Wi-Fi 7、デュアルUSB4、5GbEイーサネットを搭載し、高度なVRM冷却機構により、オーバークロック時でも高い冷却性能を発揮します。TechPowerUpによるレビューでも、その魅力的なデザインと最先端の機能が高く評価されています 。
- MSI MEG X870E GODLIKE : X870Eチップセットを搭載し、驚異的な24+2+1フェーズ(110A SPS)のVRMを備え、Ryzen 9000シリーズプロセッサの性能を極限まで引き出します。DDR5メモリは最大128GB、9000+ MT/s(OC)までサポート。2つのPCIe 5.0 M.2スロットを含む計6つのM.2スロットを搭載。Wi-Fi 7、USB4、そして10Gと5GのデュアルLANを搭載するなど、究極の接続性を誇ります。強力な冷却機構に加え、ハードウェアモニタリングやカスタマイズが可能な3.99インチのLCDを搭載しています。Amazonのカスタマーレビューでも、その価値が認められています 。
- ハイパフォーマンス向け (For High Performance).
- ASUS ROG Strix B850-A Gaming WiFi : 最新のB850チップセットを搭載し、14+2+2フェーズ(各フェーズ80A)のVRMにより、高性能なRyzenプロセッサに安定した電力を供給します。DDR5メモリは最大256GB、8000+ MT/s(OC)までサポート。PCIe 5.0 x16スロットを1基、PCIe 4.0 M.2スロットを3基搭載しています。Wi-Fi 7、USB 20Gbps Type-Cポート、Intel 2.5GbEイーサネットを備え、優れたパフォーマンスと接続性を両立しています。洗練されたデザインとDIYフレンドリーな機能も魅力です。
- GIGABYTE B850M AORUS Elite WIFI6E ICE : B850チップセットを搭載し、12+2+2フェーズ(各フェーズ60A)のVRMを備えています。DDR5メモリは最大256GB、8200 MT/s(OC)までサポート。PCIe 5.0 M.2スロットとPCIe 4.0 M.2スロットをそれぞれ1基搭載。Wi-Fi 6E(一部情報では7)、USB 3.2 Gen 2×2 Type-Cポート、2.5GbEイーサネットを搭載。包括的な冷却機構に加え、AIを活用したオーバークロック機能も特徴です。Neweggのユーザーレビューでも、その堅実な作りが高評価を得ています 。
- バリュー志向のゲーマー向け (For Value-Oriented Gamers).
- MSI MAG B650 Tomahawk WIFI : 安定した人気を誇るB650チップセット搭載モデル。14+2フェーズ(各フェーズ80A)のVRMを備え、Ryzen 7000/8000/9000シリーズプロセッサに対応します。DDR5メモリは最大128GB、6000+ MT/s(OC)までサポート。PCIe 4.0 x16スロットを2基、PCIe 4.0 M.2スロットを3基搭載。Wi-Fi 6E、USB 3.2 Gen 2×2 Type-Cポート、2.5G LANを搭載し、価格と性能のバランスに優れています。ユーザーレビューでも、その信頼性と豊富な機能が評価されています 。
- ASUS TUF Gaming B650-Plus WiFi : B650チップセットを搭載し、8+2フェーズ(各フェーズ60A)のVRMを備えています。DDR5メモリは最大192GB、6400+ MT/s(OC)までサポート。PCIe 5.0 M.2スロットを1基、PCIe 4.0 M.2スロットを2基搭載。Wi-Fi 6E、USB 3.2 Gen 2×2 Type-Cポート、2.5G LANを搭載。堅牢な作りと優れた冷却性能が特徴で、PC Gamerによるレビューでも高評価を得ています 。
- ASRock B650M PG Riptide : B650チップセットを搭載し、12+2+1フェーズ(Dr.MOS、各フェーズ50A)のVRMを備えています。DDR5メモリは最大256GB、7200+ MT/s(OC)までサポート。PCIe 4.0 x16スロットを2基、PCIe Gen5 M.2スロットとPCIe Gen4 M.2スロットをそれぞれ1基搭載。2.5G LANを搭載し、コストパフォーマンスに優れています。NeweggやAmazonのユーザーレビューでも、その価格と性能のバランスが評価されています 。Wi-Fi機能はモデルによって有無があるため、注意が必要です。
- GIGABYTE B650 Eagle AX : B650チップセットを搭載し、12+2+2フェーズのVRMを備えています。DDR5メモリは最大128GB、6600 MT/s(OC)までサポート。PCIe 5.0 M.2スロットを1基、PCIe 4.0 M.2スロットを2基搭載。Wi-Fi 6E、USB 3.2 Gen 2 Type-Cポート、GbE LANを搭載し、手頃な価格ながら十分な機能を備えています。Best Buyのカスタマーレビューでも、その価格性能比が高く評価されています 。
- ASUS Prime B650-Plus WiFi : B650チップセットを搭載し、12+2フェーズ(DrMOS、各フェーズ60A)のVRMを備えています。DDR5メモリは最大192GB、7600+ MT/s(OC)までサポート。PCIe 5.0 M.2スロットとPCIe 4.0 M.2スロットをそれぞれ1基搭載。Wi-Fi 6E、USB 3.2 Gen 2 Type-Cポート、2.5GbEを搭載。超高速な接続性と包括的な冷却機構が特徴です。Neweggのユーザーレビューでは、BIOSアップデートの必要性が指摘されていますが、全体的な評価は良好です 。
7. 予算、用途、その他の考慮事項
- 予算に応じた選択 (Choosing According to Budget).
- マザーボードの価格帯は幅広く、予算に応じて最適な選択肢が変わってきます。予算に余裕がある場合は、X870Eチップセットを搭載したハイエンドモデルを選ぶことで、将来的な拡張性や最高のパフォーマンスを確保できます。これらのモデルは、一般的に高品質なVRMや豊富な接続端子、高度な冷却機構を備えています。
- より予算を抑えたい場合は、B850チップセットを搭載したマザーボードや、前世代のB650チップセットを搭載したマザーボードも十分に検討に値します。B850チップセットは、X870Eほどの最先端機能はないものの、多くのユーザーにとって十分なパフォーマンスと機能を提供します。B650チップセットは、価格と性能のバランスに優れており、特にミドルレンジのゲーミングPCの構築に適しています。
- 用途に応じた選択 (Choosing According to Intended Use).
- ゲーミング: 高いフレームレートで快適にゲームをプレイしたい場合は、グラフィックボードの性能を最大限に引き出すことができる、十分なPCIe帯域幅と安定した電力供給が可能なマザーボードを選びましょう。VRMの品質や冷却性能も重要になります。
- コンテンツ制作: 動画編集や3Dレンダリングなど、多くのメモリや高速なストレージを必要とする作業を行う場合は、DDR5メモリの最大容量や速度、そしてM.2スロットの数や種類を重視しましょう。また、高速なデータ転送が可能なUSBポートの数も重要になります。
- オーバークロック: CPUやGPUのオーバークロックに挑戦したい場合は、高品質で強力なVRMと、それを十分に冷却できる冷却機構を備えたマザーボードを選ぶことが不可欠です。
- その他の考慮事項 (Other Considerations).
- PCケースのサイズ: 選択するマザーボードのフォームファクター(ATX、Micro-ATX、Mini-ITX)が、使用するPCケースに適合するかどうかを必ず確認してください。
- 将来のアップグレード計画: 将来的にグラフィックボードやストレージ、その他のコンポーネントをアップグレードする可能性がある場合は、拡張性の高いマザーボードを選ぶと良いでしょう。PCIe 5.0や豊富な数のM.2スロットを備えたマザーボードは、将来のアップグレードに対応しやすいです。
- 個人の好み: マザーボードのブランドやデザイン、搭載されている機能(RGBライティング、特定のオーディオコーデックなど)も、選択の際の重要な要素となる場合があります。
8. BIOSアップデートの重要性
- 最新のCPUとの互換性を確保するために (To Ensure Compatibility with the Latest CPUs).
- マザーボードのBIOS(Basic Input/Output System)は、PCの起動時にハードウェアを初期化し、オペレーティングシステムを起動するための重要なソフトウェアです。新しい世代のCPUが登場すると、既存のマザーボードでもBIOSをアップデートすることで、そのCPUをサポートできるようになることがあります 。
- AMD Ryzen 9000シリーズプロセッサも、比較的新しいCPUであるため、古いBIOSバージョンのマザーボードでは正常に動作しない可能性があります。したがって、RX 9070 XTとRyzen 9000シリーズプロセッサを組み合わせる場合は、マザーボードのBIOSが最新バージョンにアップデートされているかを確認することが非常に重要です。
- BIOSアップデートの方法 (How to Update the BIOS).
- BIOSのアップデート方法は、マザーボードのメーカーやモデルによって異なりますが、一般的には、マザーボードのメーカーのウェブサイトから最新のBIOSファイルをダウンロードし、USBメモリなどの外部ストレージデバイスに保存します 。
- その後、PCを再起動し、BIOS設定画面に入り、BIOSアップデートユーティリティを選択して、保存したBIOSファイルを指定することでアップデートを実行できます。多くの最新マザーボードには、CPUやメモリがなくてもBIOSをアップデートできる「BIOS FlashBack」のような機能が搭載されているため、万が一のトラブルにも対応しやすくなっています 。
- BIOSアップデートは、CPUの互換性だけでなく、システムの安定性向上や新機能の追加なども目的として行われるため、定期的にメーカーのウェブサイトをチェックし、最新のBIOSにアップデートすることをおすすめします。
9. 結論
AMD Radeon RX 9070 XTの性能を最大限に引き出すためには、マザーボード選びが非常に重要です。本記事では、RX 9070 XTの主な仕様と要件、そして最適なチップセットの種類、マザーボード選びで考慮すべき重要な要素について詳しく解説しました。
高性能なゲーミングPCを求めるなら、X870Eチップセットを搭載したASUS ROG Strix X870E-E Gaming WiFiやGIGABYTE X870E AORUS Master、MSI MEG X870E GODLIKEなどがおすすめです。これらのマザーボードは、強力なVRM、豊富な接続端子、そして将来を見据えた拡張性を備えています。
よりコストパフォーマンスを重視するなら、B850チップセットを搭載したASUS ROG Strix B850-A Gaming WiFiやGIGABYTE B850M AORUS Elite WIFI6E ICE、または前世代ながらも依然として高い人気を誇るB650チップセットを搭載したMSI MAG B650 Tomahawk WIFIやASUS TUF Gaming B650-Plus WiFiなどが良い選択肢となるでしょう。
最終的には、ご自身の予算、PCの用途、そして将来的なアップグレード計画などを考慮して、最適なマザーボードを選ぶことが重要です。本記事が、RX 9070 XTに最適なマザーボード選びの一助となれば幸いです。
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