AMD Radeon RX 9070 XTは、4K解像度でのゲーミングをターゲットにした、エントリーレベルのハイエンドGPUとして、ゲーマーの注目を集めています。RTX 4080に近いパフォーマンスを、はるかに低い価格で提供するという、優れた価値提案が魅力です。 本稿では、Radeon RX 9070 XTの発売日と価格、スペック、パフォーマンス、消費電力と冷却性能、競合製品との比較、ユーザーレビュー、購入の際の注意点など、詳細な情報を提供し、その実力を多角的に検証します。
RDNA 4 アーキテクチャの進化
Radeon RX 9070 XTは、AMDの最新GPUアーキテクチャであるRDNA 4を採用しています。このアーキテクチャは、前世代のRDNA 3から大幅に進化しており、RX 9070 XTの性能向上に大きく貢献しています。 主な改良点としては、以下の点が挙げられます。
- 新しいコンピュートユニット設計: より高いクロック速度と電力効率を実現
- 新しいレイトレーシングコア設計: レイトレーシング処理能力を2倍に向上
- AIマトリックスコア: AI処理性能を向上
これらの改良により、RX 9070 XTは、従来のAMD GPUと比較して、ゲーミング性能、レイトレーシング性能、AI処理性能のすべてにおいて、大幅な向上を実現しています。
発売日と価格
Radeon RX 9070 XTは、2025年3月6日に発売されました。 希望小売価格は599ドルで、これはNvidia GeForce RTX 5070 Tiよりも150ドル安く、RTX 5070よりもわずか50ドル高い価格設定です。
スペック
Radeon RX 9070 XTは、TSMC N4Pプロセスで製造されたNavi 48 GPUを搭載しています。 主なスペックは以下の通りです。
項目 | 値 |
---|---|
ストリームプロセッサ | 4096 |
コンピュートユニット | 64 |
ブーストクロック | 最大2970 MHz |
ゲームクロック | 2400 MHz |
レイアクセラレータ | 64 |
AIアクセラレータ | 128 |
メモリ | 16 GB GDDR6 |
メモリバス幅 | 256-bit |
メモリ帯域幅 | 最大640 GB/s |
Infinity Cache | 64 MB |
TBP | 304W |
推奨PSU | 750W |
電源コネクタ | 2 x 8-pin PCI-E |
出力 | DisplayPort 2.1a x3, HDMI 2.1b x1 |
パフォーマンス

Radeon RX 9070 XTは、4K解像度でのゲーミングにおいて、優れたパフォーマンスを発揮します。 多くのゲームで、Nvidia GeForce RTX 5070 Tiに匹敵、あるいは凌駕するパフォーマンスを達成しています。 特に、FSR 4アップスケーリング技術との組み合わせにより、高いフレームレートと画質を実現しています。
ゲーミング性能
Game | Resolution | FPS |
---|---|---|
F1 24 | 4K | 157 |
God of War: Ragnarok | 4K | 109 |
Horizon Zero Dawn Remastered | 4K | 99 |
Call of Duty: Black Ops 6 | 4K | 74 |
RX 9070 XTは、Speed WayやSteel Nomadなどのゲームでは、RTX 5070 Tiを上回るパフォーマンスを示しています。 一方、Cyberpunk 2077のような、レイトレーシングを多用するゲームでは、RTX 5070 Tiにわずかに劣る結果となっています。 Metro Exodusでは、RTX 5070 Tiとほぼ同等のフレームレートを達成しています。 Red Dead Redemption 2のような、Vulkan APIを使用するゲームでは、RX 9070 XTがRTX 5070 Tiを大きく引き離しています。
AI処理性能
AMDは、RDNA 4でAI処理性能の向上にも力を入れています。 新しいマトリックスコア設計により、ピークAI性能は1,557 TOPSに達し、Nvidia GeForce RTX 5070 Tiの1,406 TOPSを上回っています。 これは、AMDがAI分野に力を入れていることを示しており、今後のGPU開発にも影響を与える可能性があります。
レイトレーシング性能
RDNA 4では、レイトレーシング性能も大幅に向上しています。 新しいレイトレーシングコア設計により、レイトレーシング処理能力はRDNA 3と比較して2倍になっています。 また、パス トレーシングを実行できるようになり、レイトレーシング技術の進歩を明確に示しています。
FSR 4 アップスケーリング技術
RX 9070 XTは、FSR 4アップスケーリング技術をサポートしています。 これは、AIアクセラレータを利用して、低解像度の画像を高解像度に変換する技術です。FSR 4は、従来のFSR 3と比較して、画質が向上していますが、パフォーマンスへの影響も大きくなっています。 例えば、Call of Dutyでは10%、Monster Hunter Wildsでは20%のフレームレート低下が見られます。
消費電力と冷却性能
Radeon RX 9070 XTのTBPは304Wで、 これは前世代のRadeon RX 7900 XT (315W) よりもわずかに低い値です。 ただし、消費電力に見合ったパフォーマンス向上を実現しています。 RX 9070 XTは、2つの8ピンPCI-E電源コネクタを使用します。
冷却性能については、サードパーティ製のモデルによって異なります。 多くのモデルが効率的な冷却システムを採用しており、高負荷時でも安定した動作を維持できます。 Sapphireは、高伝導率のTIMやFree Flow Cooling Designを採用したNitro+モデルを、 XFXは、3連ファンと大型ヒートシンクを搭載したMercuryモデルを提供しています。
解像度や設定によって、RX 9070 XTのクロック速度と消費電力は変化します。 4K解像度では、電力制限が性能に影響を与える可能性があるため、冷却性能の高いモデルを選択することが重要です。 また、 によると、RX 9070 XTはアンダーボルトすることで、消費電力を削減し、効率を向上させることができます。
競合製品との比較
Radeon RX 9070 XTの主な競合製品は、Nvidia GeForce RTX 5070 Tiです。 RX 9070 XTは、RTX 5070 Tiよりも150ドル安く、多くのゲームで同等以上のゲーミングパフォーマンスを提供します。
Feature | Radeon RX 9070 XT | GeForce RTX 5070 Ti |
---|---|---|
MSRP | $599 | $749 |
VRAM | 16GB GDDR6 | 16GB GDDR7 |
メモリバス幅 | 256-bit | 256-bit |
TBP | 304W | 300W |
レイトレーシング性能 | RDNA 4で向上 | 優位 |
AI処理性能 | 1,557 TOPS | 1,406 TOPS |
ソフトウェアサポート | FSR 4 | DLSS 3 |
クリエイティブなワークロード | ラスタベースで優位 | CUDAで優位 |
ただし、レイトレーシング性能では、まだNvidiaに一日の長があります。 また、クリエイティブなワークロードでは、NvidiaのCUDA命令セットに最適化されたソフトウェアが多く、Nvidiaの方が有利です。 RX 9070 XTは、写真編集などのラスタベースのタスクでは優れたパフォーマンスを発揮しますが、Blenderでの3Dモデリングなど、CUDAに依存するタスクでは、RTX 5070 Tiに劣る可能性があります。
ユーザーレビュー

Radeon RX 9070 XTのユーザーレビューは、概ね良好です。 多くのユーザーが、その高いゲーミングパフォーマンスと価格のバランスを評価しています。 また、FSR 4アップスケーリング技術による画質向上も高く評価されています。
例えば、あるユーザーは、「RX 9070 XTは、4Kゲーミングで素晴らしいパフォーマンスを発揮する。FSR 4は、DLSSに匹敵する画質向上を実現しており、非常に満足している。」と述べています。 別のユーザーは、「RX 9070 XTは、価格と性能のバランスが非常に優れている。7900 XTXから乗り換えたが、消費電力が少なく、温度も低いので、満足している。」とコメントしています。
一方で、一部のユーザーからは、電力消費の高さや、クリエイティブなワークロードでのパフォーマンス不足を指摘する声も上がっています。 あるユーザーは、「RX 9070 XTは、高負荷時に消費電力がかなり高くなる。電源ユニットの容量には注意が必要だ。」と述べています。
購入の際の注意点
Radeon RX 9070 XTを購入する際には、以下の点に注意する必要があります。
- 電力消費: RX 9070 XTは、比較的高電力なGPUであるため、750W以上の電源ユニットが必要です。
- 冷却性能: サードパーティ製のモデルによって冷却性能が異なるため、購入前にレビューなどを参考に、適切な冷却システムを搭載したモデルを選ぶ必要があります。
- 在庫状況と価格: RX 9070 XTは、発売当初は希望小売価格で購入できましたが、品薄状態が続くと価格が高騰する可能性があります。 そのため、購入するタイミングや販売店をよく検討する必要があります。
- オーバークロック: RX 9070は、オーバークロックの余地がある可能性があります。 オーバークロックに興味がある場合は、冷却性能の高いモデルを選ぶと良いでしょう。
結論
Radeon RX 9070 XTは、4Kゲーミングに最適なエントリーレベルのハイエンドGPUです。Nvidia GeForce RTX 5070 Tiに匹敵するパフォーマンスを、より低い価格で提供しており、コストパフォーマンスに優れています。FSR 4アップスケーリング技術との組み合わせにより、高いフレームレートと画質を実現しています。電力消費の高さや、クリエイティブなワークロードでのパフォーマンス不足といった課題もありますが、ゲーミング用途であれば、非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。
Radeon RX 9070 XTは、最新のゲームを4K解像度で快適にプレイしたいゲーマーにとって、有力な選択肢となるでしょう。購入を検討している方は、本稿で紹介した情報やユーザーレビューを参考に、自分に合ったモデルを選んでください。
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