AMDが2025年3月に発表した、RDNA 4アーキテクチャを採用するハイエンドGPU、Radeon RX 9070 XT。1440pや4K解像度でのゲーミングをターゲットに開発され、前世代のRadeon RX 7900 GREと比較して大幅な性能向上を実現しています。本記事では、Radeon RX 9070 XTの性能を様々な角度から検証し、消費電力やライバルGPUとの比較、メリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。
Radeon RX 9070 XTのスペック
まずは、Radeon RX 9070 XTのスペックを確認しましょう。
項目 | スペック |
---|---|
アーキテクチャ | RDNA 4 |
コンピュートユニット | 64 |
ブーストクロック | 2970MHz |
VRAM | GDDR6 16GB |
メモリバス幅 | 256bit |
メモリ速度 | 20Gbps |
バンド幅 | 640GB/s |
AI処理性能 | INT4で1557TOPS |
TBP(Total Board Power) | 304W |
Radeon RX 9070 XTは、64基のコンピュートユニットと2970MHzのブーストクロックにより、高いゲーミング性能を実現しています。VRAMはGDDR6 16GBを搭載し、256bitのメモリバス幅と20Gbpsのメモリ速度により、640GB/sのバンド幅を確保し、高解像度ゲーミングにも対応可能です。 さらに、AI処理性能はINT4で1557TOPSに達し、AI処理の高速化にも貢献します。 消費電力は304Wと、ハイエンドGPUとしては標準的な値となっています。
ゲーミング性能
Radeon RX 9070 XTのゲーミング性能は、前世代のRadeon RX 7900 GREと比較して大幅に向上しています。4K解像度では平均42%、1440p解像度では平均38%の性能向上を実現しています。 これは、RDNA 4アーキテクチャの採用による演算性能の向上と、クロック周波数の向上が主な要因と考えられます。
様々なゲームタイトルで検証したベンチマーク結果からも、Radeon RX 9070 XTの性能の高さが確認できます。
- サイバーパンク2077: 4K解像度、高画質設定でも平均60fps以上のフレームレートを安定して出力可能です。
- フォートナイト: 4K解像度、最高画質設定で平均144fpsを記録し、非常に滑らかなゲームプレイを実現します。
- レッド・デッド・リデンプション2: 4K解像度、高画質設定で平均75fpsを記録し、美しいグラフィックを堪能できます。
これらの結果から、Radeon RX 9070 XTは、最新のAAAタイトルを4K解像度で快適にプレイできるだけの性能を備えていることが分かります。
消費電力

Radeon RX 9070 XTの消費電力は304Wと、ハイエンドGPUとしては標準的な値です。 RX 7900 XTと比べると11W低くなっています。 NVIDIAのGeForce RTX 5070 Tiと同程度の消費電力と言えます。 なお、Radeon RX 9070のTBPは220Wで、RX 9070 XTより80W以上も低くなっています。 これは、RX 9070の回路規模がRX 9070 XTより小さく、動作クロックも低いためです。
PC Watchの検証によると、システム全体の消費電力は、アイドル時で89.1W、ベンチマーク実行時で379.5~485.3Wという結果が出ています。 アイドル時の消費電力はGeForce RTX 5070と同程度と低く抑えられています。 この低いアイドル時消費電力は、システム全体のエネルギー効率向上に貢献し、ユーザーの電気代節約にもつながります。
Radeon RX 9070 XTのワットパフォーマンスは、Radeon RX 7900 GRE比で96~126%向上しています。 これは、RDNA 4アーキテクチャの電力効率の改善によるものです。
ただし、ASRockなどのメーカーが発売しているオーバークロックモデルでは、消費電力がさらに高くなる傾向があります。例えば、ASRockのRX 9070 XT OC Formulaでは、平均357W、ピーク時で430Wという高い消費電力が計測されています。 ファクトリーオーバークロックモデルは高い性能を提供する一方で、消費電力も大幅に増加するため、購入の際には注意が必要です。
ライバルGPUとの比較

Radeon RX 9070 XTの主なライバルGPUは、NVIDIAのGeForce RTX 5070 Tiです。両GPUの性能を比較すると、以下のようになります。
項目 | Radeon RX 9070 XT | GeForce RTX 5070 Ti |
---|---|---|
価格 | 599ドル | 649ドル |
ゲーミング性能 | 4K解像度でRX 7900 GRE比平均42%向上 | 4K解像度でRTX 4070比平均15%向上 |
消費電力 | 304W | 300W |
メモリ | GDDR6 16GB | GDDR6X 12GB |
その他 | レイトレーシング性能、DLSS 3に優れる |
Radeon RX 9070 XTは、GeForce RTX 5070 Tiと比較して、ゲーミング性能で優位に立っていると考えられます。価格はRadeon RX 9070 XTの方が50ドル安価です。一方、GeForce RTX 5070 Tiは、レイトレーシング性能に優れており、DLSS 3にも対応しているため、よりリアルなゲーム表現を楽しむことができます。
メリット・デメリット
Radeon RX 9070 XTのメリットとデメリットをまとめると、以下のようになります。
メリット
- 高いゲーミング性能
- 1440p/4Kゲーミングに最適
- 前世代GPUと比較して大幅な性能向上
- 消費電力が比較的低い
- ライバルGPUと比較して価格が安い
デメリット
- レイトレーシング性能はNVIDIAに劣る
- DLSS 3に対応していない
- オーバークロックモデルは消費電力が大幅に増加する可能性がある
まとめ
Radeon RX 9070 XTは、RDNA 4アーキテクチャを採用したハイエンドGPUであり、1440p/4Kゲーミングにおいて高い性能を発揮します。消費電力も比較的低く抑えられており、バランスの取れたGPUと言えるでしょう。ライバルのGeForce RTX 5070 Tiと比較して、ゲーミング性能で勝り、価格も安い点は大きな魅力です。しかし、レイトレーシング性能やDLSS 3への対応ではNVIDIAに劣る点はデメリットとして挙げられます。
購入を検討する際は、自身のゲームプレイスタイルや予算などを考慮し、最適なGPUを選択することが重要です。Radeon RX 9070 XTは、最新のゲームを最高画質で楽しみたいゲーマーにとって、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
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